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認知症の方のワクチン同意

  • 2021年05月23日

 21日、午前9時から開催された河野太郎ワクチン推進担当相の記者会見で「IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)」の記者が函館市のワクチン接種について質問をした事がネットに掲載されていましたので、再掲します。

<IWJ記者:認知症のご老人や障がいのある方など、ご自身で意思表示ができない方のワクチン接種について伺います。

 先日、弊社に、函館市在住の方から以下のような情報提供がありました。

 その方に『新型コロナワクチン事務処理の手引き(第1版)』というものが、市から送付されてきて、その中に『本人の意思が確認できない場合は接種できません』、『たとえ家族の了解があっても、本人の意思が確認できないなら接種はできない』、『意識障害だけでなく、認知症などで本人の意思が確認できない場合も接種出来ない』との記載があり、理由はアナフィラキシーなどの重篤な副作用に関するリスク承知を本人ができないから、とのことでした。

 この方は、これまでインフルエンザワクチンなどはご家族の同意と責任のもとで接種を行ってきており、今回の同様に行えるのではと反論したものの、そもそも他のワクチンもご本人の意思が確認できない場合は接種できないことになっており、今回は厳格に適応したまでとの返答だったようです。

 これは、全国的に起こっている話だと思われます。老健施設の、本人の意思確認ができない認知症状態のご老人などがワクチンを打てないのであれば、施設でのクラスター発生は今後も避けられないと思います。また、今後、一般人の場合でも、後見人の必要な判断力の不十分な方々にも同様の問題が発生するのではないでしょうか?

 河野大臣の今後の対応についてお考えをお聞かせください。」

 これに対し、河野大臣とIWJ記者との間で、次のようなやりとりがあった。

 河野大臣:「どこの自治体ですか?」

 IWJ記者:「函館市です。」

 河野大臣:「函館?・・・確認してご返事します。」

 IWJ記者:「宜しくお願いします。」

 つい先日も、福島県会津若松市が「視覚障害のため点字の通知などを希望する住民に点字に対応していないワクチン接種券を送付していた。」と発表。市は謝罪をし、現在、改善策を検討しているという。

 今、社会は、新型コロナ禍の非常事態である。平時以上に、社会的な弱者と呼ばれる人々が置かれている状況を配慮し、適切な対応をしていかなければないだろう。>

 ということです。

 この事案が起きたのが函館市ということですが、表記のように認知症を含めた意思表示のできない家族をお持ちの方々は、本人に代わって生活の様々な事を判断しています。

 このような杓子定規的な役所の対応には不信感を持たれでしょう。

 河野大臣が、部下に指示して函館市に確認したかは定かではありませんが、このようなことはこれまでも各地の現場で起きている問題ではないでしょうか。

 函館市の職員がそのように答えたということは、市役所内で共通認識とされていたか、コールセンターでのマニュアルに記載されていたものと思いますが、1人でも多くの方に接種をお願いする立場としては、意思表示の出来ない方の保護責任者や後見人の同意を本人同意とみなすなど柔軟な取り扱いが必要です。

 この問題について、これまで多くの関係者から予防接種法にある「本人同意」の緩和が求められていましたが、厚労省は4月23日に都道府県に対し「認知症など意思確認が難しい場合」の対応について通知を出しました。

 要は、「インフルエンザ等の定期接種と同様に家族同意で」というような幅を持たせているということです。

 今月20日、自民党のPT会合では、厚労省の大坪寛子審議官が「ワクチン接種は一身専属性(他人による権利行使を認めることが不適切な権利)があって、医療行為(の本人確認)は代行・代理ができないことは基本原則だ。従って、成年後見人とか親族とか普段から意思疎通が図られていると思われる方がその代行手続きをしてもいいということに留まっているので、(家族など)他の人が同意してもいいということはなかなか厚労省から言えない訳だが、そこは推し量っていただいて、家族や側の方が手続きをしていただくということになっている。」と発言しました。

 厳密に言うと、予防接種法では本人同意を必要とするが、それではコロナワクチンの接種が進まないことから、現場の実態に合わせて、最低でも家族や成年後見人の同意を得て実施してほしいと言うことです。

 私の義父は、これまで住んでいた北斗市の施設に入所していますが、認知症のためワクチン接種の判断ができず、娘である私の妻が問診票に記載して接種に同意しました。

 なぜ函館市が、容認しないのか。本来、接種出来ないということを厳格化するよりも、逆に「同意事項」を緩和することを容認して接種数を増やし、現実的ではない法の見直しを国に申し入れる努力をすべきでは無いのかと思います。


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