誰でも通園始まる(ブログ3551)
- 2024年04月22日
4月から「誰でも通園制度」のモデル実施が行われています。
函館でも手を上げる法人があり、この制度が始まりました。
しかし、子どものための施策とは言うものの、本当に「異次元の子育て対策」として定着していくのでしょうか。
この制度は、アプリを使って全国何処でも臨時に保育を頼める仕組みで、6ヶ月(未満児)から3歳未満の子どもであれば、親の就業等の要件にかかわらず保育所(こども園)などに預けられる制度ですが、この制度が保育士や親のためになるのか、なかなか理解が出来ません。
まずは、保育士の立場から見ると、毎日通園してくる園児とは違って臨時的に保育をする場合、その子の事を何も知らないにも関わらず日替わりで受け入れる事になります。
アレルギーや既往症、発達状況などによっては、ちょっとしたことが命に関わる事も想定されますし、子どもにとってのストレスも心配になってきます。そして責任だけは保育園と保育士について回ります。
また、保育園にとっては、常に保育士を確保していなければなりません。
6ヶ月から1歳未満の子ども(未満児)は3人に1人の保育士が、1・2歳児には6人に1人の保育士を配置するのが厚労省の配置基準ですが、現在、多くの保育園では、配置基準以上の加配を行っています。
制度が行われる段階で、毎日通園してくる園児のための保育士+誰でも通園制度上の保育士を確保しなければならず、その数は、未満児の場合と1・2歳児の場合では異なりますから、児童の年齢と数によって保育士を確保する保育園の負担は大きくなってきます。
そして根本の問題は、保育士が不足しているという現実です。
保育士の所得は、全産業に比較して約6万円ほど低いと言われており、保育士を志望する若い方が少なくなっています。
近年は男性の保育士さんも増えていることから、男女含めて賃金の底上げが必要になってきます。
肝心の受け入れ側の環境が整備されていないまま、ただ闇雲に保育園に対応を押しつける事になる誰でも通園制度は、保育園にとっても保護者にとっても、子どもにとっても不安な事ばかりです。先ずは現在の保育の仕組みを整備することから始めることが必要だと思います。