賃金を電子マネーで?
- 2019年01月22日
政府が電子マネーを中心とする「デジタルマネー」を使った賃金支払いシステムの導入を検討するようです。
特区諮問会議での議論は、東京都などでの要望が強いとしながら、特区を利用して導入の糸口を作り、徐々に拡大していく方針のようで、対象となるのはICカードやスマートフォンに貯める一般的な電子マネーの他、プリペイドカードやスマホの決済アプリなどを想定しているようですが、果たして問題が無いように導入することが出来るのでしょうか。
すでに中国などは電子マネーでの決済が中心となっています。
また、国内外国人観光客が電子マネーでの決済を望んでいるからといって、そのために日本に導入するというのは短絡すぎる気がします。
まずは、国民に電子決済の需要がどの程度有るのか調査を行い、その結果を見て、例え導入するにしても、モデル的な実施を経て問題点を整理し、利用者がその所得のどの程度を電子マネーで決済するのかの選択が出来るようにしなければなりません。
電子マネーの決済会社が破綻した場合など、誰が賃金を補償してくれるのかも明らかではありません。
問題点が想定されるにも関わらず、生活の基本となる個人の賃金の支払いに電子マネーを導入するのは拙速すぎると思います。
まずは、電子マネー制度が完璧なほどに確立され、その上で個人の意思が尊重される賃金支払い方法が選択できる余地を確保してから導入すべきではないでしょうか。
労働基準法では、賃金は雇用主が現金で本人に支払うことを原則としています。
例外として銀行振り込みを厚生労働省令で認めていますが、しかし、あくまで現金で本人に支払うことが原則です。