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軽減税率という詐欺

  • 2015年12月13日

 ここ2~3日、与党は消費税増税時に導入する「軽減税率」にエネルギーを費やしています。

 結果、軽減税率を適用する食料品は、「外食・酒類」を除いた生鮮食料品・加工食品に決まり、その減税額は約1兆円となりそうです。

 ブログでも何度か掲載させていただきましたが、そもそも消費税の増税は、増え続ける社会保障費に全額充てる目的で話し合われたものですが、ここに来て、その目的は来年の参議院選挙対策と化してしまいました。

 消費税増額に伴う「軽減税率」の導入は、今年の4月から実施された消費税5%から8%への増額によって消費が落ち込み、安倍晋三の唱えていたアベノミクスによる「景気浮揚」が待ったく効果を現さないどころか、逆に消費が落ち込みアベノミクスの失敗が顕著になってきたことから、このままでは来年の参議院選挙に影響が出てくるという自民党および安倍政権の思惑と、昨年の12月に行われた衆議院選挙において「低所得層」への対策を公約にしていた公明党の思惑が一致しての制度設計でしたが、ここに来て、「同床異夢」ということか、軽減税率の内容について、その原資を何処に求めるかで折り合いがつかなくなってきました。

 自民党は、低所得者への新しい社会保障制度として、医療費・介護費用の自己負担に上限を設定、それ以上の負担を抑える「総合合算制度」を先送りし、約4,000億円を軽減税率に充てると言う考え方に立ち、その計算で行くと「生鮮食料品」のみの軽減税率導入となりますが、公明党は、それでは痛税感の緩和にはならないと約1兆円規模の軽減税率とし、加工品まで含ませることで低所得者層対策の公約を実現しようとしましたが、その財源については、同じ与党でありながら「我、関せず」という無責任スタイルです。

 残りの約6,000億円は一体どうするのでしょうか。

道新の記事によると消費前5%~10%に引き上げた場合、その増税分は年間約14兆円で、「税と社会保障の一体改革」の原資としての内訳は①社会保障費の次世代へのツケ回しをしないために、約7兆3,000億円。②基礎年金の国庫負担50%の財源に約3兆2,000億円。③子育て支援や医療・介護などの充実に約2兆8,000億円。④税率アップに伴う社会保障経費に約8,000億円を配分する。⑤10%増税時に低所得者層に月額最大5,000円を支給し、⑥年金受給資格を得るための加入期間短縮の実施などを行う計画でしたが、それらの計画は何処に飛んで行ってしまったのやら、話題にも上りません。

 一体、この消費税の増税の意味は何処にあるのでしょうか。

 さらに、先般の年金基金の運用失敗が約8兆円。

 一般消費者は、軽減税率が導入されても税率の8%に変わりが無いのですから、さも、食料品の税率が軽減されると言うような錯覚を国民に与えるだけで、税率が軽減されることには全くならないのです。

 さらに、仕事が終わっての家庭でのささやかな晩酌は酒類の増税、月に何度か家族での楽しみである外食も増税となるのです。

 そして、今回の軽減税率導入に関わり、さらに必要となる社会保障財源を、将来的に新たな増税に求める事も与党合意内容に含んでしまいました。

 そうなると、数年後にはまた消費税の増税が話題に上がってくるのは必至となります。

 安定した社会保障のための政策である消費税の増税が、単に、自民党と公明党の政権基盤の安定に資することの取引材料とされてしまうことに国民は納得しないのではないでしょうか。


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