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軽減税率の行方

  • 2015年11月24日

 消費税が、今年4月に5%から8%に増税されたことから、消費が落ち込み、その影響は今も続いており、この年末商戦でどの程度回復するのかが注目されています。

 その消費税が、17年4月から、税率8%から10%に増税されることになります。 消費税増税時の付帯意見には、その時の景気状況によって導入するかどうか判断するという「景気条項」が盛り込まれましたが、政府はそんなことあったかのように増税まっしぐらに走ることでしょう。

 ただ、次回17年4月からの消費税増税時には、低所得者向けにその負担を軽減するための方策が考えられており、その一つが軽減税率と呼ばれるものです。

 消費材の中で、まさしく生存に直接関わる「食品」について消費税を10%ではなく8%のまま据え置き、国民の負担を軽減することから「軽減税率」と名付けられていますが、この軽減税率に該当する食品とは、食品全てでは無く一定の区分けをする事になっており、その区別をどうするか「与党税制協議会」で自民党・公明党が協議を始めました。

 その協議では、税収を確保したい自民党と、痛税感を薄めたい公明党の間での綱引きが徐々に本格化してきました。

 消費税増税の議論はその税収を増え続ける社会保障費へ充てると自民・公明・民主が合意したものであることは皆さんご承知のとおりですが、ここに来て民主党の主張には耳を貸さず、2党の間で協議を先行させています。

 今日の夕刊で、安倍晋三は谷垣幹事長・宮沢税制調査会長に軽減税率に関わる減税分は4,000億円の枠内で納めるように指示したとのことです。

 この約4,000億円とは食品の中で「生鮮食品」分に該当する額となります。

 一方、公明党は、酒類を除く飲・食料品と外食を該当とすることを主張、これは約1兆3,000億円の減税となりますが、この9,000億円の差は、そのまま社会保障費に影響してしまいます。

 さらに、両党は対象品目を主に「食品表示法」にある「生鮮食料品」、「加工食品」、「添加物」の3区分に分類しようと考えていますが、たとえば、マグロの刺身は生鮮食料品ですが、マグロと他の種類の魚が入った刺身の盛り合わせは加工食品となります。

 牛や豚の挽肉も単体ならば生鮮食品ですが、牛と豚の合い挽きは加工品となります。

 生鮮食品に限定しても矛盾が生じ、これを外食にまで広げた場合、ハンバーガー店でのイートイン(店内での飲食)は外食となり、持ち帰った場合は外食にならない等の矛盾が生じますし、スーパーやコンビニが「飲食店営業の許可」を受けていれば、おにぎりや弁当などの総菜は外食となり、許可を受けていなければ外食になりません。

 店の経営者や従業員、そして消費者の混乱を招いてしまいます。

 慎重に議論をして、社会保障費と軽減税率に国民の声をしっかり反映していかなければなりません。

 ちなみに、民主党は消費税の逆進性(高額所得者も低額所得者も同率の税が課せられることで、定額所得者の負担が大きくなること)を問題としており、定額所得者に対する「給付付き税額控除」方式と、高級品の税額を高率にする複数税率を検討しています。


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