農業・農村所得倍増目標10カ年戦略
- 2013年09月15日
政府、与党は、「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」を推進しようとしていますが、
これは、TPPに反対姿勢を示す農家にアメを与えようと考えられたものとしか思えず、その実現性は極めて低いものと考えます。
この戦略は、現在3兆円の農業所得を10年間で6兆円に拡大しようとするもので、拡大する3兆円の内訳は、農業所得で1兆円、6次産業化で2兆円の増加とされており、あたかも農家の所得が倍増するのではないかいう期待を持たせるものですが、農林水産大臣は先の国会で「個々の農業者の所得を倍増するのではなく、広く、農業・農村全体の所得の倍増化計画である」と認めました。
農業所得の1兆円増額の内訳は、経済成長2%を単純に10年かけると1.22倍の0.66兆円、その他、規模拡大、農地集積、流通合理化などで1兆円プラスになると試算。さらに6次産業化で輸出も含め2兆円を上積みとの皮算用ですが、本当に所得が倍増となるのでしょうか。
これまでも道の農政部の総力を挙げて農地の集積や6次産業化、輸出の促進などに取り組んできましたが、それでも、一朝一夕でその効果が表れるものではなく、更なる時間と努力が必要です。
単純に考えても、現在取り組んでいることを拡大し、この先10年間続けることで所得を倍増することが可能なのでしょうか、また、仮にその取り組みが実現できたとしても所得は倍増となるのでしょうか。
「生産農業所得」は、1980年には約4,282億円、2011年では約3,507億円で、18%減となっていますが、これを、10年後には約7,000億円に増やすということになります。
農家戸数は119,644戸が41,900戸と約三分の一になっているのにも関わらずにです。
さらに悪い事に、農政部の算出では、TPPの影響での農業産出額(注:先ほどの生産農業所得と周辺産業を併せたもので一概に比較はできませんが)の減少額は最大で4,762億円となり、併せて農家戸数の減少は23,000戸、TPPの交渉次第で数字は変わることが想定されますが、大幅なマイナスに転じるのは明らかです。。
これだけの負の環境にありながら、政府・与党はそれでも所得が倍増できるとお考えならば、現実的な根拠を示して欲しいものだと思います。
実現しなければ「絵に描いた餅」で、またウソをついたことになりますし、「頑張れ」という精神論では説得力を持ちません。