辺野古工事中断
- 2016年03月07日
国と沖縄県が裁判所の示した工事中止を含んだ和解を受け入れました。
正に「寝耳に水」とでも言うのでしょうか、予想もしていなかった事が起きました。
あれだけ、「辺野古しかない」と言い続け、14年の名護市長選では当時の石破幹事長が「名護振興基金500億円」を言いだし、昨年は菅官房長官が辺野古3地区の首長を官邸に招き、名護市を通さず頭越しに国が直接「地域振興補助金」を交付することを発表、今年1月は普天間基地が有る宜野湾市長選で、これまで7,000万円だった交付金を約4倍の3億円とし、併せてディズニーランド誘致まで言い出しましたが、県民は選挙の時だけの空手形で有ることは、此までの経験値で先刻承知であり、そんなことでは誤魔化されませんでした。
そして、工事が始まってから、長い間工事中止を求めて座り込みや海上での抗議行動を行ってきたのは皆さんご承知の通りです。
これまで、双方ガチンコで辺野古基地新設問題に取り組み、今は、県の「埋め立て工事承認の取り消し」に対し国は「行政代執行」を行って工事を継続、県は国の「行政代執行」について訴訟を起こし、国も県を相手に訴訟を起こすという、これまでに無い「泥仕合」となっており、辺野古の現地では工事中止を求める県民や他県からの応援者が、座り込みや海上抗議行動を行っていることに対し、国は、座り込みには警視庁(東京都)の機動隊を投入して強引な排除を連日行い、海上では海上保安庁の保安士が抗議行動に対し、暴力まがいの威嚇や海中への引きずり落としなどが日常的に行われています。
まさしく国によって引き起こされている警察機関による国民の排除です。
ここまで対立が根深くなっている問題が、裁判所の和解勧告があったにせよ、ある日突然、政府が和解を受け入れ、工事を中止して県と話し合うという事を判断したことを私たちはどのように受け止めれば良いのでしょうか。
そして、この和解による話し合いについても、安倍晋三は記者たちに対し「辺野古が唯一の選択肢であるとの国の考え方は変わらない」と述べています。
このことに対し翁長知事は「和解を受け入れての会談後に話す内容ではない」牽制を強くしました。
もうすでに沖縄県民は分かっているのです。
この時期の政府の和解承諾は、6月に行われる沖縄県議会議員選挙と7月の参議院議員選挙への影響を考慮したものであり、沖縄県民の声を聞くために時間をかけると言うことではないことを。選挙が終われば、また工事再開のための訴訟を起こすことを。
さらに、福岡高裁沖縄支部の和解勧告文には、国が敗訴するリスクがあることを指摘した文書も有り、日刊ゲンダイの記事で、琉球新聞の普久原 均論説副委員長は「さすがに裁判所も、国の強引な代執行手続きはおかしいと判断したのでしょう。和解案には『このままでは国が敗訴し、県が勝訴しますよ』との裁判所のメッセージが込められている、と分析する法曹関係者が複数いました。『敗訴するなら和解して出直した方がいい』。それが国の本音だと思います」と話しています。
国が敗訴したら、強引に進めてきた安倍晋三にとって大きなダメージになります。
アベノミクスの失敗、甘利前大臣を含む不祥事、憲法改定への危機感、そして強引な辺野古新基地工事で敗訴したならば、選挙で大きなリスクを背負い込むことになり、その位なら選挙が終わるまでの間、和解勧告を受け入れて工事を中断した方が得策と算盤をはじいた結果であることは明白です。
従って、私もこの和解を喜びたいのですが、残念ながら安倍晋三のいやらしい性格を考慮すれば、沖縄県民と同様にもう騙されないと覚悟を新たにしなければならないと思いました。