連合の原点は
- 2017年07月26日
働き方改革における「残業代ゼロ法案」の容認に傾いた連合執行部に多くの産別労組から異論が続出し、会長人事までがその影響を受けることになりました。
連合本部が入居するビル前では、労働者が抗議のデモを行い、シュプレヒコールで「残業を勝手に売るな」、「連合は勝手に労働者の代表をするな」などと抗議の声を上げたことが報道されるなど、その波紋は大きく広がり、地域の連合だけではなく産別労組の下部組織まで組合員の対応に苦慮しています。
あまりの反応に、「中央執行委員会懇談会」を急遽開催して説得を試みましたが、異論の声が続出し、政権とのパイプ役であった逢見直人事務局長への批判が吹き出して、逢見事務局長が就任するはずだった次期会長の人事案は当面見送り、神津里季生会長が続投することになったようです。
併せて、「残業代ゼロ法案」も白紙となり、反対の姿勢を貫きそうです。
逢見事務局長は、昨年11月1日に自民党本部で開催された「働き方改革に関する特命委員会」に出席し、同一労働同一賃金について意見を述べましたが、連合幹部が自民党本部を訪れたのは異例中の異例であり、連合の神津里季生会長が政・労・使会談で時間外勤務の上限を最高100時間としたことと相まって、自民党や安倍晋三・菅義偉等に取り入られてしまったようです。
自民党は、民進党と連合の支持関係にくさびを打つのが目的であり、そのために連合中枢との関係を良好にする手だてとして働き方改革を利用し、そのことを持って連合を利用しようと画策することは容易に想像がつきます。
このことは、安倍晋三の支持率の低下や都議選を通じて公明党の支援にかげりが出始めていること、民進党は執行部批判などで内部がもめている他、原発問題で連合の一部が民進党支持ではなく自民党を支援する動きがあるなどのいくつかの要素も絡んでいます。
連合の会長と事務局長が老獪な二階幹事長・菅義偉などに政権とのパイプ役として持ち上げられ、いいように利用されていると見るのは、穿った見方でしょうか。
この間の連合上層部の動きは、末端組合員の理解の範疇を超えると言わざるを得なく、私のところにも複数の組合員から不信の声が寄せられています。
労働組合運動をやってきた一人として訴えたい。連合の上層部は、連合が声なき労働者のナショナルセンターであることを自覚し、労働者を犠牲にする政権や企業・使用者側とは一線を画し、その原点に戻った運動に立ち返らなければ、その存在意義を失ってしまうことを。