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連合北海道の要請(ブログ3650)

  • 2024年08月04日

 連合北海道が道に対し、千歳市で建設工事が進められているラピダスの工期について、その延長を含む対応を求めて要請を行いました。

 国策として進められているラピダスは25年春にも試作ラインの稼働を行い、27年には2ナノメートルの半導体の量産を目指していることから、現地での工事は急ピッチで行われています。

 しかし工期の厳守が求められている一方で、発注側の仕様の変更等が多く、工事に支障を来す事も数少なくなく、とりわけ、設備工事は仕様変更の要望が多く、現場では設計のやり直しが頻発しているとのこと。

 ラピダスの進出が最終的に公表されたのは今年に入ってからで、それ以前には千歳市との協議が進んでいたでしょうが、土地の選定や工場の概要などが示されたのは最終決定から数ヶ月であり、建設に至る緻密な検討・協議・設計等が行われてきたとは考えにくく思います。

 これらが突貫的に進められてきたことや、2ナノの量産化が政治的な目的として短兵急に結論づけられきたことだとすれば、当然のことながら設備の仕様変更は行わなければならないこととなり、そのしわ寄せが現場に押しつけられているとも思われます。

 2ナノの半導体は、その設計が米国の半導体企業で開発されたものの、量産の技術が完成しているのかも明らかではありませんし、台湾のTSMC社では3ナノを主流として生産していますが、ラピダスは2ナノ量産の27年までどのレベル(ナノ)の半導体を主体とするのかも明らかになっていません。

 さて、工事ですが、ご存じの通り、国内では「関西・大阪万博」の工事が遅れていますし、新幹線の札幌延伸も30年の開通がいつまで延長されるのかも定かではありません。

 つまり、全国的に建設関連の需要は供給に全く追いついておらず、建設業の24年問題(労働時間の制限)も含めて、建設会社は時間外勤務の上限を超えて労働者を働かすことは法に触れることになりますし、労働側も、正常な36協定を結んだ上での時間外労働が求められます。

 法が施行された4月以降でも、現場では多少の上限違反が行われてきたのかも知れませんが、建設会社がこれ以上の現場に甘える事と、現場がそれを甘んじて受け入れてきたことも限界となってきたと思われます。

 今回の連合北海道の申し入れは、労働環境を守ることを前提とし、それによって工期が延長する事の柔軟な対応を求めるものであって、当然の要請だと思います。

 27年の2ナノの量産はラピダスの決定事項であっても、物理的に間に合わなければ仕方の無いことであり、その原因が度重なる仕様の変更となれば、現場の責任とは言い切れません。国策である以上、政府は労働側とラピダスの調整から逃れることは出来ません。


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