運送業界の環境改善を(ブログ3136)
- 2023年02月12日
9日のブログで、「物流崩壊の危機」と題して、これ以上、配送時間指定などの配送付加価値を求めれば、約3割の荷物が計画通り着荷主には配達されず、そのことにより発荷主のダメージは大きくなる事を掲載しましたが、今日は、配送を行うドライバーの実態です。
少子化によって人口が減少し、絶対数が不足しているのは何処の産業も同じなのですが、とりわけ配送の仕事に就く人は少なく、貨物自動車の運転手の有効求人倍率は、21年で1.89倍、全職業の0.95倍の2倍の求人がありますが、なかなか改善がされない「不人気職業」となっています。
先ずは、所得が低いことで、21年の年間所得は全産業の平均である489万円に対し、大型トラックのドライバーは431万円と50万円以上の差がついています。
さらに、待ち時間も含めると労働時間も長くなり、21年の場合、全産業の平均2,112時間に比較して、大型トラックが平均2,544時間、中型トラックが平均2,484時間となっており、ここに人手不足も重なれば、さらに束縛時間の長いきつい労働となってきます。
思うように新人が入ってこないために就業年齢も高齢化へと流れていきます。
これも21年の統計ですが、20歳代が9.0%、30歳代~40歳代が43.2%、50歳代が27.6%、60歳代以上が17.6%を占めています。
運送業界の高齢化はトラックだけでは無く大型バスにも共通することで、この間、高速バスや観光バスにおける高齢ドライバーの事故も散見されています。
そして、運送業界には、2024年問題が横たわっています。
時間外勤務の上限が設定され、年間の時間外勤務は960時間を超えてはいけないことになります。それでも他業種の年間720時間の上限より240時間も長いのです。
様々な労働環境が取り巻く運送業界ですが、これらの環境を少しでも早く改善しない限り、物流や旅客などの運送業界は行き詰まってしまうことになり、それは国民に全て降りかかってくることになります。