道内鉄道の維持に向けて
- 2017年01月10日
昨年の12月30日から始まった北海道新聞の特集記事『「民営化」の幻想~国鉄分割30年』は、読者である私たちに大きな示唆を与えてくれました。
8回の連続特集で、
①『消えた「上下分離案」』では、民営化議論が政府と自民党の党内権力闘争の具にされ、第2次臨調では、上下分離方式を「議論する価値もない」と切り捨てたこと。
②『経営安定化基金』では、1986年に決めた基金6,822億円の運用益が、当時の国債の利回り7.3%で今後も推移するという見通しの甘さと、利回りが減少しても何ら手を打たずに放置してきたこと。
③『対立の果てに』では、当時57万人が加盟する最強の組合が、利用者である国民を無視して自らの権利闘争に明け暮れた結果、国民の意識が民営化へ加速して行ったことと、そのことを日本労働総評議会(総評)と国鉄労働組合(国労)の弱体化に利用した政府のしたたかさがあったこと。
④『政治の干渉』では、政治家が鉄路を利用し、我田引水のように選挙区に鉄路を引き、票に結びつけようと利益誘導していたこと。そして、自民党が新聞の意見広告を出し、その中で「国鉄が・・・あなたの鉄道になります」、「ローカル優先のサービスに徹します」、「ご安心下さい。ローカル線(特定地方交通線以外)も無くなりません」という約束をしたことが、いつの間にか忘れ去られたこと。
⑤『北海道の切り捨て』では、国鉄を地域ごとの完結性を理由に6社(貨物を含めて7社)に分割する考えが大勢を占め、分割後の各社の収益力や成長力、事業の将来性といった経営学的な企業評価が無視されたこと。その中で、道民の7割が北海道単独の分社化について、将来への不安から否定的だったこと。
⑥『JR九州』では、JR北海道とは対照的な経営を行い、株式を上場したJR九州の判断と、今後は完全な民営化として株主中心の経営となり、地方赤字路線の廃止も危惧されること。
⑦『鉄路の主』では、JR四国、JR貨物と併せJR北海道が未だに「JR会社法」に縛られ、国が全株式を保有している国有会社であるにしても、国は分割民営化を盾に支援を渋り、経営安定化基金の取り崩しも国交相の承認無しでは自由に出来ないこと。
⑧『「3人組」松田氏』では、国鉄職員として国鉄改革案作りの実務を行っていた当時課長級であった地元出身の松田昌士氏、さらに井手正敬市、葛西敬之氏の改革3人組から、特に松田氏のインタビューで、JR北海道に対する国の支援や国の方針、JR北海道自身の方針について明らかにすべきということ。
等が掲載され、締めくくりに論説委員室から特集の総括が示され、北海道全体で議論を深めていく必要がある。と結ばれていました。
まさしく、JR北海道の問題は、私もこれまで主張してきたようにオール北海道として取り組むべきものであるという考えは道新とも一致しており、今後は、議会として政党とか会派とかの次元を超えた全体としての取り組みが必要であることから、議会に設置されている「新幹線・総合交通体系調査特別委員会」の理事を通して、議会としても各界を巻き込み、北海道の鉄路維持に向けた取り組みを主体的に行っていくべきと主張した結果、特別委員会もその意をくみ取り、今後、様々な協議を重ねていくことになりました。