道民に目を向けた経営を
- 2016年05月08日
北海道電力が2016年3月期の連結決算を発表しました。経常利益が280億円となり、税引き後の純利益も212億円となったようです。
今回の利益は07年の344億円以来の高水準とも言われていますが、北電は、この利益を株主に還元し、併せて、日本政策投資銀行に発行した優先株の買戻しに使うとのこと。
一方、電機利用者には、泊原発を再稼働した際に値下げすると繰り返しました。
何かおかしくないでしょうか。
北電は、これまで、泊原発が休炉していること、代替えの火力発電に関わる原油が値上げしていることを理由に2度にわたる値上げをしてきました。
それも、他の電力会社よりも高い全国一の値上げ率で、道民の家計だけではなく、電気を利用する全ての産業にも大きな負担をかけ、そのために廃業を余儀なくされた企業も出た事は記憶に新しいところです。
この間、原油は1バレル=100ドルが40ドルまで値下がりし、電気料金値上げの原因が解消されたにもかかわらず、電気利用者には何の還元もなく電気料金は据え置いたままでしたが、今回の黒字化に対しても株主と会社への還元だけが念頭にあり、利用者には何の還元も考えていないと言うことです。
確かに、値上げする以前に、身を削る努力をしなければ利用者が納得しないことから、資産の売却や社員の給与の見直しなどを行っての値上げでしたが、それは、当たり前のことであり、何も特別なことではありません。
しかも、電力会社は厳しい経営の中でも「総括原価方式」という、一定の利潤を利用者の料金に上乗せする手法をとり、併せて再生可能エネルギー発電付加金まで徴収し続けています。
逆に言うと、厳しい経営の中でも利益だけは利用者からちゃんと担保し、再生可能エネルギーによる発電が増えれば増えるほど、これも利用者からお金が入ってくる仕組みとなっています。
であれば尚更、黒字になって一番に還元するのは株主を含めた身内にではなく、利用者ではないでしょうか。
全国一の値上げに苦しんでいる利用者の事を考えない、との印象を拭えないこの度の方針は、一歩間違うと既存の利用者離れに拍車をかけることに繋がりかねません。
時あたかも電力の全面自由化が始まり、北電より安い小売業者へと利用者の流れが加速してきています。
1社独占の時代が終わろうとしているにもかかわらず、電気利用者への還元を後回しにし、それも「泊原発の再稼働が条件だ」という経営者には、道民の理解はなかなか得られないものと思います。