道民目線と知事の判断
- 2019年11月05日
鈴木知事が、IRカジノ誘致に対し「道議会の意思も大きな判断材料になる。」と発言したようです。
知事が年内に誘致するかどうかの判断をすると発言したことから、それを忖度した道の幹部職員が「苫小牧市議会にもカジノ誘致の決議をあげてほしい」と進言し、苫小牧市議会がその意図に沿って決議をあげました。
今度は、今月25日から開会する道議会第4回定例会にその態度表明を求めています。
確かに苫小牧市議会議員は苫小牧市民の、道議会議員であれば道民の代表と言うことになりますが、議会の意向だけで判断するというのは、自らの判断の責任逃れということにはならないでしょうか。
春の自治体選挙では、立候補した候補がIRカジノ誘致の可否だけを訴えたわけではなく、雇用や医療・福祉、教育や経済の他、地域の懸案事項などを公約として訴えてきた結果、当選したものです。
IRカジノの誘致という、北海道の将来に多くの影響を与えるだろう課題について、知事は個別の重要課題として道民投票をするくらいの考えを持つべきではないでしょうか。
かくいう知事も、春の知事選挙の際にIRカジノの誘致には触れずに先送りし、当選してからも「道民目線で判断する」と答えてきました。
道民への世論調査では6割以上が反対か慎重姿勢です。
そのそ道民意識を道民目線とせず、議会だけを道民目線とするのであれば、これからの様々な施策の推進は道民の意向を気にせず、全て議会の意向を重視することだと宣言するようなものです。
国はIR推進法を可決しましたが、その中でも具体的なもの約300項目以上を政省令に委ねています。
知事は、この政省令のすべてを熟知しているのでしょうか。そして、ギャンブル依存症以外にも懸念されるカジノの負の部分をすべて解決できるのでしょうか。
道議会の質問には、「万全を期す」と答えていますが、「万全」という意味は「手落ちや抜かりが無いこと、完璧なこと」ですから、誘致において懸念されることは何も起きないと断言することになります。
知事は、道民視線を道議会に矮小化すること無く、本当の道民の思いを受け止めて判断すべきだと思います。