道議会の定数削減
- 2012年08月22日
市町村議会の多くが議員定数の見直しを行っております。
私たち道議会議員も、議員定数の見直しの検討を数年前から行っておりましたが、前回の選挙では具体的な見直し手法に対する意見が一致せず、人口減に係わる2議席の減に留まってしまいました。
昨年の改選後、道議会改革検討委員会のメンバーが交代したことを受けて、有識者からの意見を聞く場を設けることになり、この間、2回の意見交換会を行いました。
有識者は、地方議会に詳しい道内の大学教授2名と道外の大学教授、町村会事務局長の4名で、第1回目は、改選前の改革検討委員会委員長がこれまでの検討経過を報告し、有識者それぞれの立場からの地方議会と議員定数のあり方に対する考え方をお聞きしました。
先般行われた第2回目では、改革検討委員会のメンバーから、広域分散型の道内にあっては、公職選挙法の群(北海道においては各振興局管内)と市の選挙区区割りを人口基準だけで行う現状では、札幌市のように都市部に議員が集中し、一方、過疎化が進む地方の定数が削減され、本来、都市部より課題が多い地方の声が議会に届きづらくなるという弊害が起こることになり、この解決策として、道州制特区を利用しての北海道独自の選挙方式の導入を前提とし、
①人口基準だけではなく面積基準を設けることはできないか
②都道府県と同じ権限を持つ政令市である札幌市に道議会議員は必要か
③札幌市の定数28名を大幅に削減することは可能か
④比例区選挙を導入し、地方の議席を確保できないか
等について意見を述べ、有識者の見解をお聞きしました。
有識者からは、「道州制特区は公職選挙法までを視野に入れてはおらず、これまでの国の議論からは、特区を活用して独自の区割りを行うことは無理である」という見解を基本として、
①地方の声を道政に反映するのは、何もその地域の議員でなくても良く、全ての議員は道内の様々な問題を把握しているはずであり、札幌の議員が山村や漁村の課題を取りあげることはできるはず。
②政令市であっても広域に係わる事務に関与することが有ることから、道議会議員は必要である。
③定数の基準は人口のみであり、札幌市の定数を削減することは1票の格差を拡大し、法の下の平等に抵触することから違憲状態を作り出すことになる。
④比例区選挙の導入は、国政選挙のような制度には成り得ず、地方選挙への導入は混乱を招くだけでなく、1票の公平性を欠くことになる。
との見解をそれぞれの有識者が述べられました。
結果として、1票の重さと法の下の平等は普遍であり、定数の削減は人口減の地域を対象としたものしか出来得ないということです。
改革検討委員会のメンバーから「これでは、道議会独自の定数削減は無理ということか」との問いに、有識者からは、「法の下の平等における1票の重みを覆す論理が有るならば教えて欲しい」とも言われました。
今後も今まで同様に、人口減に伴い、複数区の場合は定数を減ずる、一人区の場合は隣の選挙区と合区するということ以外に道議会議員の削減は難しいようです。
市町村議会議員の場合、同じ自治体内の選挙であることから独自の定数削減を行っても自治体住民における1票の格差は生じませんが、道議会議員の場合、都市部であろうと過疎地であろうと、全道全ての道民に1票の格差があってはならないということであり、削減しようと検討を始めた改革委員会ではありますが、大きく事情が変化しない限り検討はしばらく先送りとなりそうです。