道道の陥没
- 2021年11月12日
三笠市の道道岩見沢・桂沢線で、道路が深さ6メートル、長さと横幅が7メートルにわたって陥没し、走行中の乗用車が転落、乗っていた3人が重軽傷を負った事故が発生しました。
現場の車道横には水が溜まった沢があり、反対側は法面を下がると幾春別川に排水するパイプが数本設置されていました。また、近隣の岩見沢市の観測地点では10日午後4時までの24時間の降雨量が90ミリと、11月の観測史上最多を記録していたようです。
陥没の原因は今後の調査に委ねられますが、このような事故を目の当たりにすると、何時・何処で同じような事が起こるかも知れないという不安に包まれてしまいます。
いくらパトロールを行っても、地中の中で起きていることは表面に現れてきません。
この事故に関し松野官房長官は、高度成長期に整備されたインフラの急速な老朽化に対して「維持管理、更新を計画的に進めることが重要だ」と述べましたが、ここには二つの問題が横たわっていると考えます。
一つは、この間、東京都府中市で起こっている陥没は、大深度(地下40m以下)で行っている外環状道路や、リニア中央線の地下工事が原因で陥没が起きている等の事故が起きていますが、今回のように、そのような外的原因がまったく無く、長年の水による侵食や土砂の流動による地盤沈下などということは、全く想定する事が困難であるということ。
二つ目は、全国に張り巡らされているインフラは、道路、橋梁、トンネルを中心に、そこに付随している法面など様々な施設を含め、膨大な数量になっているということです。
10年程前に、政府の関係者から聞いたことが有りますが、「日本中のインフラは既に300兆円を優に越えており、そのほとんどが40年50年を経過し経年劣化も著しい。 近年は、工事費用も高騰していることから維持管理や更新も計画的に行われず遅れ気味となっている。仮に、毎年維持管理に10兆円を投入しても30年以上かかるだろうし、
今後も高速道路や高規格道路等の要望は絶えること無く続くだろう。」と話していました。
そのような現実を目の前にした時に、松野官房長官の言うようなことが簡単にできるのだろうかと思いますが、そうは言っても対策を行わなければ安心して道を走ることが出来ません。これ以上の便利を求めて更に新しいインフラにお金をかけるのか、それとも現在のインフラの維持に注力するのか、悩ましい問題です。