選挙従事者の報酬(ブログ3772)
- 2024年12月12日
10月27日に投開票された衆議院議員選挙の結果は、国政に様々な変化をもたらしました。
今は臨時国会が開催されており、政治とカネの問題や、103万円の壁などが議論されていますが、今回の選挙で国民が何を国政に求めているかを真摯に受け止め、誤りの無い方向性を見いだして欲しいものと思います。
さて、話は少し異なりますが、公職選挙法で決められている「選挙従事者への報酬・実費弁償・弁当提供についての制限」について、果たして、今の実態と矛盾が生じていないのか若干の疑問を感じていました。
まずは、最低賃金が北海道の場合1時間1,010円となりましたが、選挙カーの音だし時間は午前8陣から午後8時までです。つまり、通常の場合は12時間拘束されます。
昼食時間は1時間というわけにはいきません。途中でトイレタイムを何度か取りますが、その特性から自由時間ではありませんから、拘束時間を12時間としても、1,010円×12時間=12,120円となります。
車上運動員の報酬は1日15,000円以内で超勤手当は不可となっています。
選挙カーは、その音出しを毎日事務所から始める事にはなりません。広大な北海道の小選挙区の場合、事務所から遠く離れた場所から音出しを始める場合もありますし、同じく遠く離れた場所で音出しを止める場合もあります。
今回の衆議院選挙の場合、今まで宿泊が出来た郡部の旅館が北海道新幹線の工事等の影響により、宿泊が出来ませんでした。つまり、何処で音出しを始めるか、音出しを終えるかによって、現地に着くまでの時間も加わりますし、現地から事務所に戻るまでの時間も同様です。片道3時間必要な場合も想定されます。1日15,000円では実態に合わなくなったのです。その解決方法として、2交代制ということも考えられますが、車上からマイクを握り有権者に訴えかけるのは、それなりの経験が必要です。右から左へと運動員を集める事もままならないのです。
また、宿泊料は1泊12,000円(2食付き)以内となっていますが、今の宿泊料金の実態に即しているのでしょうか。ラーメンやそば1杯が1,000円を超える物価高の中で、体力を使う車上運動員の昼食費が1,000円以内というのは妥当なのでしょうか。
日本社会は人手不足です。そして宿泊費は増嵩していますし、食費も値上げが続いています。最低賃金は毎年見直され、1,500円になるまでそんなに時間はかからないでしょうから、そうなった場合1日12時間としても18,000円となります。食品は来月からも3,000種類以上が値上げとなります。来年は参議院選挙がありますが、選挙区は都道府県単位となることから、さらに広大になってしまいます。
また、選挙の即日開票は「働き方改革」からも見直しが必要では無いかと思います。
各自治体の職員が、投票事務の従事後に開票事務に就き翌日未明まで働いた後に月曜日には通常業務に着かなければなりません。
政府は業務から業務の間に9時間~11時間のインターバルを置くこととしています。
選挙結果を急ぐのは候補者とその関係者だけであり、過去に行っていた翌日開票でも支障は無いのではないかと想います。
公選法で想定していないSNS使用のあり方や、常軌を逸した輩による様々な行為など、公選法改正の必要性が求められている昨今ですが、仮に改正を行うのであれば、選挙従事者等の報酬や宿泊費・食事代などの見直し、そして即日開票のあり方も検討して欲しいものだと想います。