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邦人救出に全力を

  • 2016年06月02日

 シリアで拘束されていると思われるフリージャーナリストの安田順平さんの映像が公開されたことをテレビの報道が伝えました。

 先にシリアの反政府組織「IS(イスラム国)」に拘束され、その後、殺害された民間軍事会社代表の湯川遥菜さんと、フリージャーナリスト後藤健二さんのことが思い出されます。

 あの時と同じようなオレンジ色の囚人服に身を包み、手には「助けて下さい これが最後のチャンスです 安田純平」と書かれたボードを持ち、やつれた表情で訴えていた映像は、本当に最後の望みを日本に託すような悲壮感が漂うものでした。

 報道によると、安田さんには11億円の身代金がかけられ、日本政府が判断する猶予も一ヶ月しかないと言われています。

 安田さんを拘束している「ヌスラ戦線」は安田さんをイスラム国に引き渡す可能性も示唆していることから、もし、イスラム国に引き渡されたら、また、湯川さん、後藤さんと同じ道を辿るのではないかと心配されます。

 日本政府は、3月にも同じような映像が公開されていたにも関わらず、「情報を収集する」と述べただけで、具体的な交渉を行わないままとなっています。

 そして、今回のサミットにおいて、「テロ集団への身代金の支払いは、彼らのリクルートに向けた活動を支え、また、テロ攻撃を組織し、実行する彼らの作戦能力及び将来的な身代金目的の誘拐事件に対するインセンティブを強める収入源の一つであり、それによって我々の国民に対するリスクが増大している。我々は、身代金を支払わず、我々の国民の生命を守り、かつ、関連の国際条約に従ってテロ集団の生存及び繁栄を可能とする資金を得る機会を減少させるという我々の決意を改めて明確に表明し、全ての国に対し、そのようにするよう求める。」と宣言しています。

 この宣言文をまとめたのも議長国である日本です。

 これまでも、自民党の高村副総裁は、「自己責任論」を前面に出し、拘束されたフリージャーナリスト達を見殺しにしてきました。

 一方で、危険を顧みずに紛争国に飛び込み、命の危機に晒されつつその実態を我々に伝えているのは、このようなフリージャーナリストの皆さんです。

 菅官房長官は「邦人の安全確保は政府の最も重要な責務だ」と話していますが、これまでと同じ轍を踏まず、邦人の開放にどのような交渉力を持って臨むのか、私たちだけではなく世界のジャーナリスト達もその行方を見守っていることを忘れないで対応して欲しいと思います。無事に安田さんが救出されることを望みます。


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