金委員長発言
- 2018年04月22日
いつ、何が起こるか分からない。
まさしく世界は、予想のつかない事が起こりうるということなのでしょう。
金正恩党委員長が、①核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験を中止する②北部の核実験場を廃棄する③我が国に対する核の威嚇がない限り、核兵器を絶対使用せず、いかなる場合も核兵器と核技術を移転しない④経済建設に総力を集中する⑤周辺国や国際社会との緊密な連携と対話を積極化する 等を党の中央委員会総会で表明したとのニュースが報道されました。
南北首脳会談直前の決断、そして米朝首脳会談への布石であることは明らかであっても、今の段階でこれほどの譲歩を発表するなど、誰も予想しなかったことだろうと思います。
今日も、朝からサンデーモーニングや日曜討論で、政治評論家などがこのことについて見解を述べていましたが、「核の放棄には触れていない」とか「騙されてはいけない」との消極的な評価が目立ち、政府も、小野寺防衛相が「中・短距離ミサイルや核の放棄に触れておらず不十分」、また河野外務相も「核保有を前提とし、核兵器の廃棄には言及しない不十分なもの、制裁が緩和されるものではない」と否定的な評価に終始しました。
一方、米国ではトランプが「北朝鮮と世界のために非常にいいニュースで大きな進展だ。首脳会談を楽しみにしている」とツイッターに投稿し、ポンペオCIA長官は「首脳会談するための条件を適切に設定できる」と好意的に評価、韓国では大統領府が「朝鮮半島の非核化のための意味ある進展で、非常に肯定的な環境をつくることに貢献する」と、こちらも好意的な評価を示し、さらに、中国外務省は「この度の金委員長の発表を歓迎する。朝鮮半島の情勢緩和や非核化、政治解決プロセスの推進に役立つ」とし、ロシア外務省も「緊張緩和に向けた重要な一歩」と評価をしています。
短距離ミサイルで一番不安なのは韓国であることはその論を待ちません。
だからこそ、韓国は、制裁ではなく対話を重視し、そしてそれを実践してきたのです。
北朝鮮問題の関係6ヶ国の中で唯一、金委員長の訪中を事前に知ることもなく、また事後においても内容報告さえ無く、在日中国大使館に求めなければその内容さえ分からないという扱いを受けた日本、残念ながら北朝鮮問題に関してまったく蚊帳の外に置かれ、日・朝首脳会談のめどもたっていない日本は、今回の金委員長の発表に対し、「いじけた子ども」みたいに素直に評価することを嫌がっているように見えます。
確かにこれまで、北朝鮮との約束事が反故にされてきたという経緯が有ると言われますが、日朝平壌宣言にしても、確認された内容が双方の思惑にずれが生じ、一方的に北朝鮮が約束を反故にしたとは言えないのではないかと思います。
また、日本は在日朝鮮人に対し、これまで多くの差別的な対応をしてきました。
ヘイトスピーチだけではなく、関東大震災の時の朝鮮人弾圧、歴史修正、閣僚の三国人発言や、高校授業料無償化の朝鮮学校対象除外などに代表される差別は、特に安倍晋三内閣からその傾向が強くなっています。
安倍内閣は、この度の金委員長の発言を受け、上から目線ではなく対等な立場での対話を実践し、未来に向かっての二国間の信頼関係を築き上げるべきだと思います。