開通はいつになるのか(ブログ3833)
- 2025年02月12日
北海道新幹線の札幌延伸計画が、先延ばしせざるを得ない状況となり、いつになったら札幌までの新幹線が開通するのかは「神のみぞ知る」という世界に入ってしまいました。
最大の難関は、長万部~倶知安駅間にある羊蹄トンネルの有島工区(4.2km)で、函館側から掘り進んだ地下15mの地点に通常の掘削機械では対応出来ない大きな岩塊が出現、昨年の4月から約7ヶ月かけて撤去しましたが、その後も次の岩塊が相次いで出現し、これまで工事が3回も停止、この間たったの6mしか掘り進んでいません。
工事を担う機構では、音波による地中調査で岩塊がある事は知っていましたが、個別の岩塊の大きさや密集度が正確に分からず、実際に掘ってみないと分からないとのこと。
この時代にあって、科学的な調査でも把握できないという、ナゼか機構の甘さを感じてしまいます。そして、撤去に取りかかっている岩塊についても、機構は特別な撤去作業は必要無いとみていましたが、結局はトンネル内からでは無く地上から穴を開けて特殊な機会で砕くしか解決策が無い事も分かりました。このことからも、機構の過失は大きなものと言えるのではないでしょうか。
もとより、羊蹄山の西側の麓に大きな岩塊が存在するのは、大昔の噴火によるもので、噴火によって山が崩れる「流山地形」になっている事、それも地下に分布していることも想定内でしたが、同機構の施工技術委員会の委員を務める地質学の専門家が、「岩塊が浅いところや深いところにあるのは予測が付かない」と話していることも、無責任このうえないと思います。
もう一方の比羅夫工区でも岩塊撤去で2年4ヶ月も工事が中断しており、今後も二つの工区で少なくとも7ヶ所に岩塊がある事が分かっているとか。このままで行けば、30年開通が35年になり、それがまた3年延びましたが、果たして38年に開通できるのかも怪しいものです。現状を見ると開通は40年代に入ってしまうのではと危惧しています。
そうなれば、八雲町、長万部町など各自治体の新駅を核とした街づくりにも大きな影響が及びます。ましてや札幌市は、30年開業を目標としていた駅前再開発に大きな期待をかけましたが、開通の先延ばしは大きな番狂わせですし、そこに建設費の高騰も相まって開発計画の縮小も相次いでいます。さらに、新幹線駅の工事による地上の交通への影響もいつまで続くのか、市民への迷惑もひとしきりです。
これでは、機構が引いたルートの構想が間違いだったのでは?と批判を受けるでしょう。
当初からこのルートでは7割以上がトンネルと言うことで、北海道の雄大な景色を乗客に提供できないという懸念が有りましたが、当時は航空機との時間競争で、とにかく1分でも早く東京~札幌間をつなぐことが命題でしたから、最短距離でルートを引くことはそのことが基本となってしまいました。その結果が甘い調査を誘発し、難工事で進捗に支障を来しているという現実にぶち当たっています。
今更、ルートを替えることは出来ない事ですが、新幹線にかけた経済効果を10年以上も遅らせる結果となれば、機構への非難は避けられないでしょう。