関電の使用済み核燃料(ブログ3365)
- 2023年10月16日
関西電力は、福井県高浜町に設置している高浜原発5機の使用済み核燃料搬出計画を福井県側に提出し、杉本達治知事は「一歩前進した」と評価、40年経過した原発3機の再稼働が現実のものとなってきました。
杉本知事は、既に関電高浜原発敷地内の冷却プールに保管している使用済み核燃料が、6月現在で約83%にも及んでいることから、このままでは最終処分場になりかねないと危惧し、関電側に対し、使用済み核燃料の県外搬出を行わない限り、原発の稼働は認めないことを通告、関電は、むつ市・東電・日本原電の三者が協定を結んで再処理工場が出来るまでのあいだ一時保管するために建設したむつ市の中間貯蔵施設を利用できないかと東電、日本原電と協議をし了解を得ましたが、むつ市がこれを拒否しました。
当初から青森県側は、再処理工場が稼働できない場合は、中間処理施設に保管している使用済み核燃料を、それぞれの原発に返還すると協定を結んでいたことから当然のこと事だと思います。
そこで、関電は、窮余の策としてフランスに使用済み核燃料200トンを受け入れて貰い、杉本知事に「一部の使用済み核燃料を移動した」と報告しましたが、評価に値しないと突き放されていました。
先月、関電は、中国電力と手を結び、現在、地元の反対で建設できていない山口県上関町の中国電力敷地内に中間貯蔵施設を建設する事として、その調査に入りました。
しかし、仮にその施設が建設を開始したとしても、ボーリング、環境影響調査などそれなりの期間が必要なために、それまでの間の対処も含めた搬出計画を再提出したのです。
その計画の概要は、
①青森県六ヶ所村の再処理工場が26年から受け入れ開始
②27年~29年度に高浜原発の使用済み核燃料約200トンをフランスに搬出。積み増
しも検討。
③30年ごろに中間貯蔵施設の操業開始
④原発敷地内に乾式貯蔵施設の設置を検討
⑤原則として貯蔵容量を増やさない
というもので、これを杉本知事は「一歩前進」と評価したのです。
さて、皆さんはどう思いますか?
①は、ほぼ幻想に近く、これまで25年ものあいだ再処理工場は稼働出来ませんでしたし、
今後も見通しが全く立っていません。原発専門家は再処理を前提とした核燃サイクル構
想は破綻したと評価しています。
②は、フランスとの間で確約が取れているものではなく、当然積み増しなどは勝手な思い
だけではないでしょうか。
③は、上関町の住民が既に反対の行動を起こし始めていますから、これも希望的観測とい
う域を出てはいません。
④は、唯一可能性があり、核原発でも検討しなければならない処方だと思います。
⑤は、原発が稼働する限り使用済み核燃料は増え続ける事から、①~③が実現しない限り
約束は守れないことになります。
こんな計画書で、知事が同意をした事に疑問を感じます。
これから、議会でどのような議論になるのか福井県議会に注目です。