防衛予算と隊員数(ブログ3673)
- 2024年08月31日
来年度の予算概算要求が決定しました。
これから年末にかけて財務省と各省の綱引きが始まり、最終的には大臣折衝による調整が行われて来年度予算が決定しますが、概算要求で目を引いたのが防衛費です。
5年間で43兆円の防衛費増額の3年目として、来年は8.5兆円の概算要求額で24年度当初予算から10.5%、の増額となり8兆円を初めて超えました。
とりわけ敵基地攻撃型の兵器の充実に力を入れ「スタンドオフ防衛能力」の強化かを前面に出してきました。
・多数の衛星で脅威を早急に探知、情報収集を行う「衛星コンステレーション」システム
の構築。
・迎撃されにくいマッハ5以上の「極超音速誘導弾」の製造体制の拡充と開発推進。
・艦発型の「12式地対艦誘導弾の威力向上」の取得。
・米巡航ミサイル「トマホーク」の発射機能を付加するための艦艇回収。
・小型攻撃用の自爆式ドローンの取得。
・日英伊共同開発の次期戦闘機の国際機関拠出金。
・長射程ミサイルの搭載可能な新型護衛艦3隻の建造。
・F35A戦闘機の取得(8機)。
・装備品の維持整備。
等を主な事業としていますし、その他に次年度以降に支払うローン後年度負担6兆9,
192億円の返済も重くのしかかります。
さて、年々増加していく防衛費ですが、23年度に計上していた6兆8,219億円の予算のうち、約1,300億円が不用額となりました。つまり使い残したということです。
「急な予算の増額について行けなかった」と官房長官が説明、契約額や人件費が予定を下まわったのが要因と話しています。
さて、人件費が予定を下回ったのは、自衛官の途中退職が増えた事や新採用者数が減少したことが背景にあります。
防衛省の発表では、23年度の自衛官の途中退職者数は6,258人で、イラクなどの海外派兵が拡大した17年の5,952人以降最大の数となりました。
一方、一般曹候補生の採用数は22年度の6,132人から23年度は4,969人までに減少、計画達成率は69%で3割減となっています。
さらに自衛官候補生の採用数は22年度の3,988人から23年度は3,221人に減り、採用計画数1万628人のわずか30%に止まっています。
年々増額される防衛費、そして、集団的自衛権の行使や敵基地攻撃型への対応に対する不安が採用数減少の影にあり、声高に叫ぶ「我が国の安全保障環境の悪化」という錦の御旗によって生じる、訓練や任務の激化が現職隊員の途中退職に繋がっていると言うことも背景にあるのだろうと思います。
武器を増やし、操作が複雑になってきている中で、それを担う自衛隊員が不足しているという現実に政府と防衛省はどのように対処するのでしょうか(まさか徴兵?)。