障がい者雇用率(ブログ3113)
- 2023年01月20日
厚労省は、民間企業に法律で定めている障がい者の雇用率を現行の2.3%から段階的に24年4月から2.5%、26年7月から2.7%にすることを決めました。
現在は、従業員43.5人以上の企業が2.3%ですが、雇用率が引き上げられることになれば、これに比例して2.5%になれば40.0人以上の企業が、2.7%になれば37.5人以上の企業が対象となります。
先般の道新では、障がい者の雇用率をクリアーするために、企業が農地を借り副業として農作物を栽培し、そこに自社で雇用した障がい者を出向させて農業に従事させ、収穫した作物を施設に寄付したり、作業をした障がい者に持ち帰らせたりしている事が明らかになりました。
企業にすれば、雇用率がクリアーでき障がい者に本業を任せなくても済む。障がい者やその家族にすれば、適度に体を動かす農作業で報酬を得ることが出来る。
双方がウィンウィンの関係で問題が無いのでは、とのようですが、障がい者雇用の本来の主旨からかなり逸脱したものとなっていないでしょうか。
障害者雇用促進法の主旨は、「障がい者も経済社会を構成する一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。」となっています。
そして、障がい者を雇用する事は働きやすい職場環境を作り、その事によって全ての労働者にとっても働きやすい職場を作る事が重要であるという観点も含まれています。
フルタイムが無理な場合は、短時間の就労も採り入れるなど工夫をする事も必要で、政府は、障がい者雇用を促進するための「障がい者雇用調整金」も支給しています。
24年からの雇用率引き上げが、本来の主旨では無く形だけ整えればという論理で進むことになれば、本来の主旨を踏まえたものとはならず、インクルーシブ社会(全ての人がお互いの人権と尊厳を尊重して生きていける社会=共生社会)からは遠ざかったものとなるでしょう。