電波停止という圧力
- 2016年02月11日
引き続き、問題がある大臣発言です。
高市早苗総務大臣が、衆議院予算委員会において「政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、放送法に基づいて電波停止を命ずる可能性もある」等、放送の自由に対して圧力をかける発言をしたことは、報道の自由に対する、そして憲法に反する発言であり、大きな問題と言わざるを得ません。
その発言に対し、菅義偉官房長官は記者会見で「当たり前のことを法律に基づいて答弁したにすぎない」と、事もなげに答えていました。
なぜ、こうした発言がつづくのでしょうか。
まさしく、安倍晋三の改憲、権力者絶対主義に根ざした発言であり、トップの安倍晋三が強権的にマスコミ批判をしているのだから、担当大臣として当たり前の発言だと言わんばかりです。
放送法は、戦中の「大本営発表」にあるように、我が国の損害を矮小化し、不適切な言い換えを行い、勝敗が正反対の発表すら恒常的に行い、政府にとって都合の悪い真実には蓋をして、情報操作や虚偽の情報を流し、国民に正しい判断が出来ないようにしたことが、悲惨な戦争を無為に長引かせてしまったという事実を踏まえてできたものであります。
ご存じのように、放送法第1条(目的)第2項には「放送の不偏不党、真実及び自立を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」そして、第3項には「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と規定されています。
高市大臣の発言は放送法第4条第2項にある「政治的に公平であること。」を根拠としていますが、これは有識者の間でも通説となっている「倫理規範」であり、現場は第1条の目的に規定されている原則に沿って放送すべきではないでしょうか。
このような高市大臣の発言に対し、テレビ局側は何の反論も行っておりません。
既に皆さんご存じのように大新聞の社長さんたち経営者は、安倍晋三のお食事仲間となっています。
権力者から飯をご馳走になっていい気になっている方々にとっては、政権批判などあってはならないことのようです。
元NHK政治記者で評論家の川崎泰資氏は「テレビ局はナメられているのですよ。これまでの政治介入に対し、NHKも民法も何らまっとうな反論をしていないから、政権側は『俺たちの言いなりになる』と思っている。甘利前大臣が辞任しても支持率が上がる状況を見て、メディアコントロールがうまくいっているとほくそ笑んでいるでしょう。だから、大問題である電波停止なんて発言が平気で飛び出すのです。」と語っています。
時まさに、朝日新聞→テレビ朝日→HTB「報道ステーション」の古館一郎キャスター、毎日新聞→TBS→HBC「ニュース23」の膳場貴子キャスター、岸井成格アンカー、NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターなど政権に辛口なキャスターが、政権の意向を忖度した放送局側の意志により降板されることになりました。
これからは、政権に対しておとなしい放送ばかりとなってしまい、より、「大本営」に近いものとなってくることが想定されます。
これからの日本は、国民に正しい情報を伝えないためのネットへの規制や、公共放送規制が敷かれ「中国」、「北朝鮮」と同じ国になってしまう事が懸念されます。
このことも含め、国民は現政権に対し厳しく対峙していかなければならないと思います。