食糧安全保障
- 2016年11月21日
北海道の食糧自給率はカロリーベースで207%、生産ベースで208%となっています。
北海道(552万人、83,456平方km)は独立しているわけでは有りませんから一概に言えませんが、人口ではデンマーク(554万人)、フィンランド(533万人)、ニュージーランド(437万人)他、 面積では、オーストリア(83,870平方km)、オランダ(41,528平方km×2)他となっており、人口・面積とも類似しているのがUAE・アラブ首長国連邦(人口460万人、面積83,500平方km)、北海道程度の人口・面積の独立国はかなりあると思います。
食糧戦略で考えますと、北海道は、輸出国と成りうるだけの供給量を誇ります。
一方、日本はどうでしょう。
日本全体ではカロリーベースで39%、生産ベースで66%となっており、いずれにしても食糧を輸入しなければ、日本国民の口はまかなえないことになります。
そこにTPPでの関税撤廃です。
米国は、食糧は軍事、エネルギーと並ぶ「武器」と位置づけ、ブッシュ前大統領は農業関係者の集まりで「食糧自給はナショナル・セキュリティーの問題だ。米国は皆さんのおかげでそれが常に守られている。(どこの国か判ると思うが)食糧自給が出来ない国を想像できるか。それは、国際的圧力と棄権にさらされている国だ(そのようにしたのは我々だがもっと徹底しよう)。」と話している。
さらに、農業が盛んな米ウイスコンシン州の大学教授は、学生に「食糧は武器であって、日本が標的だ。直接食べる食糧だけではなく、日本の畜産の餌である穀物を米国が全部握れば、日本を完全にコントロールできる。これを世界に広げていくのが米国の食糧戦略なのだから、皆さんはそのために頑張るように」と発言していたことを、ある新聞は伝えています。
戦後から始まった米国による食糧支配は、TPPが水泡に帰そうとも終わるものではありませんし、さらに完結へと向かっています。
よく、日本の農業は補助金で守られていると言われますが、米国での米の生産コストはベトナムやタイの2倍近くとなっていますが農業保護は厚く、さらに輸出には1兆円もの多額の輸出補助金を出して戦略を推進しています。
日本の農家に輸出補助金はありません、全て自己努力となっています。
そして、日本の農家所得に占める補助金の割合は40%弱ですが、EUではイギリス・フランスが約90%、スイスでは100%となっています。
これだけ厚い保護を行っているのは、農業は産業ではなく軍事やエネルギー同様に食糧安全保障という位置づけだからです。
TPPによって、米国などに日本の食糧を骨抜きにされるくらいなら、北海道は独立した方が良いのではないかとも考えてしまいます。