首相と財務相が異次元(ブログ3233)
- 2023年05月30日
「次元の異なる少子化対策」として、来年度から3年間「集中取り組み期間」に位置づけ、年間3兆円の追加予算のうち1.2兆円を「児童手当の拡充」に充てる方針です。
検討案は、3歳~小学校を対象に第3子以降の支給額を現行の月1万5千円から3万円に倍増、そして、月額1万円の支給対象を中学生から高校生までに拡大、併せて所得制限の撤廃がその中心となりますが、これが「次元の異なる」、いわゆる異次元の対策とは、何とも評価しようが無い中身です。
しかし、この児童手当の拡充に対して鈴木財務相は、高校生まで拡充された場合、現在16歳~18歳に適用されている扶養控除を廃止する必要があることを記者会見で話しました。
児童手当を拡充しても扶養控除を廃止したら、何にもならないだけではなく、財源確保のために増税をしないと岸田氏が話していた事とは裏腹に、実質的な増税となってしまいます。高校生を育てている世帯は月額1万円支給されても、1子当たり38万円の控除がパーになるというわけで、所得税は累進課税となっており、所得によって課税率が違うことになるわけで、とりわけ課税所得は195万円以下で税率5%、330万円以下の税率は10%ですが、330万円を超えた場合は695万まで20%となってしまいます。
扶養控除から外されれば、その分所得が増えるという図式になり、この様な世帯は必ずありますから、扶養控除が廃止された場合、税率がそれぞれのランク上限ギリギリの世帯の場合は、1ランク上の税率が適用されることになり、税負担は5%から10%、または10%から20%と2倍になってしまいます。
場合によっては月1万円、年間12万円の児童手当を貰っても税金で徴収される額が多くなることが現実的に起こります。
所得制限を撤廃しても、逆に子育て世帯に負担が及ぶのであれば何のための支援なのでしょうか。岸田氏の狙いと財布を預かる財務相の腹の中が大きく食い違う?これが政策を積み上げたものではなく、「付け焼き刃」的な思いつきの政策である事を裏付ける証左だと思っていましたが、案の定、今日の新聞では、この扶養控除の撤廃については再検討することなったようです。官僚としてまったく情けなく、また、何の思慮も無く政策として口にした岸田氏もやはり「空っぽ」の首相です。