香港の緊急法
- 2019年10月08日
香港の行政長官が「緊急法」を発動し、この緊急法によってデモ参加者が顔を隠すために着用しているマスクを禁じる「覆面禁止法」が施行されました。
「緊急法」は行政長官と行政会議(日本の閣議に相当)が「緊急的な状況、および公共の安全に危害がある」と判断した場合に発動できる法律で、発動されると、行政長官に権限が集中し、「公衆の利益に合致する」範囲ならばいかなる規則も制定可能となり、必要な立法会(日本の国会に相当)の承認を経ずに施行できるものです。
この「緊急法」の持つ力は強く、条例によれば、出版物や市民の交通・通信、さらに写真などに対し検閲を実施し、制限を加えることが出来るほか、財産没収、家宅捜査、国外追放なども想定されます。
今回の「覆面禁止法」の適用は、非合法な集会や政府の許可を得ていない集会などで、ここで、顔を覆うものを着用した者は最高2万5000香港ドル(1ドル=14円換算で35万円)の罰金および1年以内の禁固刑に処されます。
一方、日本では、自民党の憲法改正4項目の一つに「緊急事態条項」というものが含まれています。
この緊急事態条項が想定しているのは「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律制定を待ついとまがないと認める特別の事情が有るときに、内閣に法律と同一の効力のある制令を制定できる(国会が定めるのが法律、内閣が定めるのが政令)権能を与えるということです。
自然災害だけだと思いがちですが、災害にはテロや大規模デモなども含まれるようになっています。
大規模デモ、まさしく今回の香港のデモです。
日本では、何十万人規模のデモは経験が有りませんから、そうなると数万人規模でも災害と位置づけられることが想定されます。
憲法改正により「緊急事態条項」が定められると、今回の香港のように国会の審議を得ず内閣の意思だけで国民をしばりつける政令を発することが出来るようになります。
今の香港の状態が、憲法改正後の不自由な日本に重なります。