高プロとテレビ局
- 2018年07月01日
民放の在京5社全てに労働基準法違反が有ると、三田労働基準監督署が是正勧告を出していたことが新聞に掲載されました。
なぜか、今日この問題を取り上げたテレビニュースを、私は見ていません。
2013年~17年までに、テレビ朝日が4回、日本テレビが2回、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビがそれぞれ1回、勤務時間が変則的なテレビ界ではまさしく違法残業が蔓延、日常茶飯事で、誰もそのことを問題視していないということなのでしょうか。
時間外勤務に関する労使協定で、毎月結ばなければならない36協定の限度を超える実態が明らかになり、過労死ラインである月80時間を超える145時間にも及んだケースもあるとのこと。
NHKで、女性記者やプロデューサーが過労死したのは、ついこの間です。
そして、この国会で働き方改革法案が成立しました。
その中の「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の対象職種は <①新技術の開発・研究その他の研究職②情報システム・プログラマー等③出版関係における記事の取材・編集業務④広告制作やデザインの考案業務⑤テレビ等の放送番組、映画等の制作プロデューサー、ディレクター業務⑥コピーライター⑦情報処理システムコンサルタント⑧インテリアコーディネーター⑨ゲームソフト開発者⑩証券アナリスト⑪金融商品開発業務⑫大学における教授研究業務⑬公認会計士⑭弁護士⑮建築士⑯不動産鑑定士⑰弁理士⑱税理士⑲中小企業診断士> となっています。
この中の⑤に有るように、テレビ等の放送番組制作のプロデューサー、ディレクター業務が入っています。
しかし、この方々が単独で仕事をする事は希でしょう。必ずと言っていいほどこの職種の方々の周りにはスタッフが常時一緒にいます。
また、いなければ番組作りは出来ません。
このように、番組作りの責任者であるプロデューサー、ディレクターは高プロの対象者で無制限の時間外勤務が可能になりますが、その周りのスタッフは対象外の方々です。
従って、このままでは番組が作れなくなるので、やがては関わる全てのスタッフも高プロの対象職種に取り込まれて行くことになるでしょう。
今回の是正勧告を契機に、高プロとの関係についても放送労連は厳しく取り上げて行くべきではないでしょうか。
野村不動産の場合、その業種から⑯の「不動産鑑定士」という職種が「裁量労働制」に該当するかも知れませんが、それ以外は不適用のはずです。
しかし、野村不動産では職種ではなく課長・課長代理600人に適用して営業をやらせていたとのことです。
営業職に裁量労働制を適用すれば、成果としてのノルマ達成のために土日も休まず、平日の勤務時間も関係なく、ものが売れるまで働き続けねばなりません。