高プロも強行採決
- 2018年06月18日
働き方改革関連法案も、参院厚労委員会で強行採決されようとしています。
高プロ:高度プロフェッショナル制度は、年収1075万円以上の専門職を対象として
労働時間規制の枠からはずし、己の裁量で成果を達成する働き方
と説明し、さも自分の労働時間は自分で決め、休みも休憩も自由に決めることができ、労働者にとって理想の働き方と宣伝していますが、果たしてそうでしょうか。
勤務時間はこれまで、その欺瞞性について多く語られてきましたが、ここでは年収1075万円について少し述べましょう。
1075万円、こんな高収入は自分には関係無いと思ってしまいそうですが、そこに大きなからくりが潜んでいます。
条文には、1075万円という表現は無く、数字は一切触れておりません。
1075万円は政府が勝手に言っている額であり、条文には<基準年間平均給与額の3倍を相当程度上回る水準>と書かれています。
基準年間平均給与とは、厚労省が示す毎月勤労統計における支給額で、これにはパート労働者の方々の給与金額も含むことを指しますし、一般的にはパート労働者の給与は一般労働者より約7万円ほど低い額となっており、今後パート労働者が増えれば基準額もどんどん下がり、高プロの年収要件も下がり、対象者が拡大されると言うことになります。
また、この数字には通勤手当も含まれているというもので、一体何が基準なのか、まったく曖昧な数字となっています。
それでは、なぜ1075万円なのでしょうか。
なんと03年の労基法改正で「専門的な知識、技術又は経験であって高度なもの」という基準を定めたときに大臣告知で定めたものなのだそうです。
いわゆる1075万円とは、何の論理的根拠もない「掴み(つかみ)の金額」です。
そして、対象職種も労働者派遣法の時のようにどんどん範囲が拡大されるでしょう。
何せ、塩崎厚労相は「小さく産んで大きく育てる」と、つい口に出していましたし、経団連は「年収400万円以上」とも話しています。
さらに、法律違反企業を取り締まる労働基準監督官が全く足りません。
監督官は全国で、現在3241人、対象事業所は428万事業所、そこで働く労働者は5209万人、監督官1人あたり1320事業所・1万6000人の労働者の労働条件を監視しなければなりません。
そして、これは高プロの違反監視だけではなくあらゆる労働条件違反が対象となりますから、もはや物理的に不可能と言わざるを得ません。
その中で高プロの制度が発足することになります。
高プロは労働者奴隷を生む、亡国の労働制度となるのではないでしょうか。