高額療養費の改悪(ブログ3834)
- 2025年02月13日
政府は、医療費が高くなった患者を支援する「高額療養費」制度を見直し、自己負担額を引き上げるとの方針を明らかにしました。
厚労省が「社会保障審議会医療保険部会」に諮問していた高額療養費制度見直し案は、現役世代の負担軽減という大義名分の下、昨年の11月から部会議論を始めて約2ヶ月間という短い審議時間で結論を出しました。
この部会のメンバーは、国立社会保障・人口問題研究所 田辺国昭氏を部会長に、早稲田大学法学学術院教授 菊池馨実氏を副部会長に、総勢21人で構成されていますが、この中に患者の代表は入っておらず、せいぜい全国老人クラブ連合会理事やNPO法人高齢社会を良くする女性の会から委員を送っていますが、この方々が患者の声をどの程度反映していたのかは定かではありません。
これまでの審議会や部会は、事務局を担う省庁が示した資料や考え方を議論するという形から脱却できず、多分、今回も厚労省の考え方である5%~15%の引き上げをそのまま「妥当である」と、認めたのではないかと思います。
さて、仮に15%の引き上げが行われ場合、約6,200億円の削減効果があると言うことですが、現役世代の一人当たりの年額保険料軽減は年間約1,100円~約5,000円、月にすると約92円~約417円で、労使折半後の負担では約46円~約208円、この軽減のために、外来特例を除いて年間795万人の負担が増えることになります。
例えば、年収370万円~770万円では上限月額の約8万円が3年後で最大約14万円となります。
私は、約10年前に「胃がんステージⅣ」と診断され、余命宣告もされました。腫瘍の転移が肝臓とリンパにも広がっていたことから手術は不可能と言われましたが、薬剤による化学療法と治験薬治療を10ヶ月行い、その後、手術が出来るまで回復し、胃の全摘、肝臓の部分摘出を行い、今に至っています。
この時の医療費は、月に約30万円から35万円でした。
私は、高額療養費を受ける資格はありませんでしたが、仮に年収770万円の方が同じような医療費を負担しなければならない場合、最大14万円の高額療養費制度を利用しても月に16万円~21万円の医療費を自己負担しなければなりません。
年収770万円の場合でも、税金・社会保険料等を差し引けば収入は約半分ほどとなるでしょう。その中での高額医療費の負担は、民間の個人保険から手立てするか、貯蓄を取り崩すか、借金でもしなければ生活が成り立たない事になります。
ガンや心臓疾患などは罹患率と死亡率が供に高く、治療は高額になります。
高額療養費を利用されているのは国民の15分の1の方々です、そして、この方々が負担増になります。そうです、皆さんの廻りにもガンや心臓疾患で療養中の方が必ずいます。
そして、次は貴方かも知れません。
「健康で文化的な最低限の生活」、つまり憲法第25条で国民には生存権を、そして国の社会的使命を規定しています。私は「高額療養費制度」の改悪には反対です。