1日も早くなのか
- 2020年06月10日
議会運営委員会が開かれ、コロナ関連の補正予算について知事は議会冒頭に先議して欲しい旨を議長に伝え、その後、議会運営委員長の手元で理事会を開催し、冒頭処理をすることになりました。
既に記者会見で補正予算の概要を説明した知事は、「今説明したものは議会の了承を得なければならない内容ですが、1日も早い対応をするために理解をお願いしたい。」旨の発言をしています。
しかし、予算の内容を見てみますと、7月からと実施期間を明示しているのは、
①道産食品等の販路確保事業費:1億円(7月~12月の期間)
→道民の道産食品の消費喚起に資するよう道内百貨店等で感染予防対策を講じた売り場 確保や宅配サービスにより食関連事業者の販路確保を支援を目的とする。
どうでしょう。既に百貨店の食品売り場では、入店時の客の手指消毒、体温測定が行われ、接客する店員はマスク・ゴム手袋着用、アクリル板やビニール膜設置等の感染対策が講じられていますし、宅配サービスについても先んじて自治体や業界がネットや新聞などにデリバリーやテイクアウトの広告を掲載しています。
②観光誘客促進道民割引事業費:約25億円(7月~令和3年1月までの期間)
→「新北海道スタイル」の構築に取り組む宿泊施設等を利用する道内客を対象とした旅 行商品の割引に対して支援する目的。
北海道観光のオンシーズンは夏場とばかりに、7月から道民が道内を積極的に旅行して欲しいという思いが込められています。確かに観光業界は大変な状況となっていますが、札幌圏以外の道民は、今でも札幌には行きたがりませんし、旅行をしようというモチベーションは低い状況です。しかし、これは知事自身が毎日のように訴えていたことではないでしょうか。
さらに、国の2次補正予算の「GO TOキャンペーン」と全く被ってしまうことになるのではないかと思います。独自色が感じられません。
これが、期間を設定している事業で、他の医療体制の充実・強化に関する予算、経済活動の継続と段階的拡大に関する予算、社会生活・文化活動の継続と安心の確保に関する予算は、いつから始めるという事も説明されていません。
そして、今も継続して申請を受け、貸し付けをしている事業で、今回の補正の目玉政策と銘打って予算化しているのが
③生活福祉資金貸付事業費補助金:約170億円
→道社協が実施する生活福祉資金の特例貸付に必要な原資に対する補助を目的とする。
毎年予算化されている、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする低所得世帯向けの貸付ですが、今回はコロナの影響による休業や失業という特例貸付への対処で必要な制度ですが、現在、道社協の保有する貸付原資は約90億円で、実績はコロナの影響による増加分を加えても5月末で約43億円の貸付となっており、まだ、半分以上の原資が有ります。積み増しは必要ですが、1日も早くという状況ではありません。
知事の言う1日でも早くは、議会議論が面倒くさいという安倍晋三氏につながるものを感じますし、記者会見好きの知事の「やっている感」に振り回されているだけでは無いかと思います。
そして、政策予算の専決も今回の先議も、絶対多数の知事与党がそれを認めてしまうという構図の中で、野党の声がと言うよりも道議会議員自身が議会の権能と議員の責務を自ら放棄しているようの思われますし、そこに知事がアグラをかいているのが最近の議会という気がします。
知事が、そんなことは無く、切実に1日も早くと本当に思っているならば、16日からの本会議を待たず、記者会見の翌日にでも臨時議会を招集し、補正予算を提案すれば良いのではないかと思います。