10万年後の安全
- 2021年03月15日
昨日、「100000年後の安全(原題)」というDVDを見ました。
この映画は、フィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」を題材にした映画で、オンカロの内部や、オンカロの管理会社副社長、放射線の専門家などのインタビューで構成されています。
オンカロは、「隠し場所」という意味を持つ最終処分場で、18億年前の岩盤を採掘し、地下500メートルの場所に都市並の広さを確保し、ここへ2100年までにフィンランド国内で排出される高レベル放射性廃棄物を埋蔵して埋め立てるというものです。
放射能は今の段階で無害化することが出来ず、時間に頼るしか有りません。その時間が10万年という途方もない時間です。
人類が想像できるのはせいぜい30年後か長くても50年後程度ですから、映画が語るように100年後の世界も判らない、ましてや1000年単位など・・・。
オンカロは、10万年という人類史上初めて最も長い単位の建造物となり、永遠とも言える時間への実験とも言えます。
埋め立てが終了する2100年までは保管のための管理やメンテナンスを行う事になりますが、厚いコンクリートで遮断してしまえば、それから以降は自己完結型で人の手のかからないの処分場となります。
インタビューではそれぞれの方が、地上は非常に不安定で大規模な自然災害や世界を巻き込む戦争が起こる事は避けられず、また、永い時間の地球の気候ローテーションでは今後6万年以内に氷河期が訪れ、地表は永久凍土に覆われ人類も絶滅するであろうが、それまで人類がどのようになっているのかも判らない。
より高度の文明を持つのか、それともネアンデルタール人のように退化した人類なのか、今の人類が使用している言葉は通じるのか、このオンカロの危険性をどのように伝えるのか、いや記憶から消してしまうのか。
記録する場合は国連の共通語を使用するのか、それとも標識のようなものにするのかも意見が分かれています。
日本の場合、地層に固い岩盤は無く、永い保存への国の科学的な方針も示されておりません。にも関わらず、過疎地を札束で最終処分場にしようとしています。
未来への責任という大事なピースが欠けたまま進める最終処分場政策、まずはこれ以上核のゴミを出さないようにすることから始めなければならないのではないでしょうか。