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4月から種子法廃止

  • 2018年03月23日

 新聞報道にあったように、今年4月から「主要農産物種子法(種子法)」が廃止になってしまいます。

 この法律は、コメや麦・大豆などの穀物種子を国が管理して都道府県が「原種」を維持することを定め、種子を各農家に安定的に供給すること目的としていました。

 コメの種子が100%国内自給できたのはこの法律によるところが大きかったのですが、安倍晋三が設置した「規制改革推進会議」は、この法律が有るために民間企業の参入を著しく阻害しているとして廃止を打ち出し、17年2月に閣議決定し4月に国会で廃止が決まりました。

 なぜ、種子法の廃止が問題なのか。

 現在、コシヒカリの種籾は1キロ当たり400円、10アール当たり1,400円ほどですが、民間の三井化学アグロの「みつひかり」、住友化学の「つくばSD」はその4倍から5倍近くの高値となっています。

 コメ農家が安く種籾を購入できたのは、種子法によって公共財と位置づけられ安定供給できるように予算措置をしてきたからで、法が廃止になると公共財としての位置づけが失われ、先程の三井化学の「みつひかり」等だけではなく、海外からの圧力を受けて種籾を大量に輸入することにもつながります。

 そうなると例えば米国のモンサント社(遺伝子組み換え大豆で有名)の「とねのめぐみ」など5倍から10倍の価格で購入せざるを得なくなります。

 併せて、種子を購入すると農薬や肥料、資材も全て契約した企業のものを使用することが義務づけられたり、出来たコメを指定する所に売らなければならなくなる等が危惧され、さらに種子は1代限りの「F1種」を使用するので、毎年購入しなければならなくなります。

 それだけではなく、懸念されるのは住友化学がモンサント社と共同開発した「WRKY45」など、遺伝子組み換えのコメの種子は現在すでに70品種も開発され、茨城県の「隔離圃場」で栽培されているといいます。

 野菜の種子が以前は100%国内産だったのが、今では90%が海外産となってしまったように、国内主要穀物であるコメ・小麦・大豆も同じ状況に置かれる事になります。

 日本は明治の初期から多くの手間をかけて各地に伝わる原種、原産種に改良を重ね、優良品種を育て上げてきました。

 にも関わらず、この種子法と一緒に審議されてきた「農業競争力強化法」では、これら各地の農業試験所や農業改良普及所などで地道に改良を重ねてきた優良品種の知見や知的財産も民間への提供を促進すると有ります。

 北海道のコメは、その昔まずいコメの代名詞でしたが、今では「ななつぼし」、「ほしのゆめ」、「ゆめぴりか」など、国内の高級料理店でも使用されてます。

 各都道府県でも、美味しい食味のお目や小麦・大豆を作り上げてきました。

 コメなどの主要穀物の種子は、食の安全、食糧自給率の確保、食の安全保障の観点からも、むやみに金儲けの材料としてはならないのではないでしょうか。

 米国ですら米の61%、カナダでも麦の95%が公共品種です。

 英国ではサッチャー元首相が麦の種子事業を民営化して、大失敗に終わりました。

 しかし、種子法はこの4月に廃止されてしまいます。

 私たちは、未来の子どもの身体と日本の農業を守るために、日本の種子を保全する新たな法を模索しなければならないと思います。


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