693ガルでOK?(ブログ3205)
- 2023年05月02日
原子力規制委員会が泊原発の再稼働に向けた審査会合を開催し、原発の耐震設計の目安となる「最大基準値振動」を従来の620ガルから693ガルに引き上げるとする北電の検討結果を大筋で了承しました。
このことは、再稼働が1歩前に進み出したことを意味しますが、果たしてこれで地震が起きた場合の安全性が保たれるのでしょうか。
泊原発の基準値振動については、北電が昨年の9月に規制委に示すことになっていましたが、遅れに遅れて8ヶ月後に考え方を提示しましたが、それが693ガルです。
ここで、昨年の8月7日のブログを再掲します。
<北電は、この基準地振動を9月下旬に規制委に説明する考えを示しましたが、これまで、規制委の新規制基準に見合う説明を、9年間も出来ないままとなっていました。
規制委は北電が的確な説明が出来ない事に対し「原発の専門家がいないのでは無いか」とまで発言、その後、規制委も「何とかしなければ」と北電側にお手伝いするようなことも言っていたことから、今回の承認は規制委の大いなる妥協が働いたのではないかと疑問が残ります。
さて、今回承認を受けた地震動を基に、泊原発の基準地振動が決められることになりますが、以前にもこのブログでお話ししたように、泊原発開設時の基準地振動は370ガルで、フクシマ原発事故後にこの基準を550ガルに見直して補強し、その後2018年3月時点では620ガルまで引き揚げました。
しかし、これは既存の原発における基準地振動としては下位に位置しており、震度6弱程度までの耐震設計となっています。
ちなみに、2000年までの主な地震では、700ガル以上の地震が30回以上、1000ガル以上の地震は17回記録されています。
近年の北海道に関わる地震では、2018年の北海道胆振東部地震がマグニチュード6.7で基準地振動は1796ガルとなっています。
一方、ホームメーカーの三井ホームでは個人住宅の基準地振動を5115ガルに設定し、震度7に60回耐えた家として売り出していますし、住友林業の木の家では3406ガルとなっています。
一般住宅よりかなり低い基準の原発建屋では、安全とは言えません。
ましてや、問題は原発建屋だけでは無く、建屋に至る外部に張り巡らされた様々な配管も同じく大地震に耐えなければ、給水、給電を失うことになり、大事故に直結します。>
結局規制委は、このままでは泊原発の再稼働が見通せなくなることから、甘い判断をしたとしか言えません。
この規制委の判断で行くと、基準津波、火山活動に対する評価も「大甘」で認める事になるのでは無いかと危惧します。
規制委は、中山委員長になってからすっかり「規制委」では無く「推進委」に衣替えをしたかのようです。