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IOCの収奪か(ブログ3037)

  • 2022年11月01日

 10月30日のブログで、運営費の増額で札幌市の負担が増えたこと、バンクーバーが開催費負担が大きく承知から撤退したこと、スピードスケート会場・フィギュアスケート会場へのクレームについて、札幌五輪誘致への警鐘ではないかと記載しました。

 今日の新聞では、秋元札幌市長が「現在の計画を前提に、会場を変更する事無く問題の解決に努力する。解決できないことでは無い。」との見解を述べたとのこと。

 その記事の下には、IOC委員の太田雄貴氏(フェンシング銀メダリスト)が、「歩みをいったん止めようという判断も、時としてはオプションとして持っておくべきだ、走り始めた列車が止められないということがあってはいけない。」と記者会見で話し、改めて誘致に対し慎重な検討が必要出あることを示唆しました。

 山本敦久成城大学教授(スポーツ社会学)が週間金曜日に掲載した内容を再掲します。

 IOCは「スポーツ大会を興行して巨額の商業的利益を生み出す“興行主”である」ということです。自前の会場や関連施設を所有していないIOCは、開催国・開催都市の公的資源を差し出してもらわなければオリンピックを開催することはできません。開催地の公金を湯水のように使い、巨大なスポーツ施設を建設させ、その後の施設維持費も公共機関に負わせ、自らは一切の負債を負わない。

 このような仕組みで行われるオリンピックは、必ず開催地に大きな負債を残します。

 東京五輪の大会経費は1兆4,238億円と公表されましたが、明らかにされていない「関連経費」が含まれておらず、これを含めた総額は3兆円を超えると報道されました。 長野冬季五輪は、IOCが多額の負債を地元自治体に押しつけ、長野市は総額694億円を借り入れその負債を返還するのに20年間を要しました。そして今も施設の維持費を負担し続けています。

 最たるものは、国内競技人口が150人程度のボブスレー・リュージュのために建設した「スパイラル」で110億円、今は半ば巨大な廃棄物と化していますし記念アリーナ「エムウェーブ」の維持費も財政を圧迫しています。

 IOCはいわば植民地経済の収奪的仕組みのもとでしかオリンピックの開催が出来ないのです。

 オリンピックが巨大なビジネスとして可視化されたのが「東京五輪」です。

 バンクーバーが招致から撤退したのは賢明な判断だったのでは無いでしょうか。

 山本教授は、「スポーツはオリンピックを必要としていない」と断言しています。

 スポーツ競技は今や世界大会が目白押しです。

 世界陸上、世界水泳、世界体操、世界柔道、空手、自転車、テニス、ゴルフ、バスケットボール、ハンドボール、ボクシング、レスリング、スキー、スケート、スノーボード、ソフトボール、ヨットなどなど、ワールドカップは、バレー、サッカー、ラグビー、アイスホッケー、ホッケー、カヌー、野球などなど、この他にも競技別に様々な世界大会が存在し、どの競技も、選手達が切磋琢磨して世界の頂点を目指しています。

 つまり、オリンピックでは無くても金メダルを目指すことが出来ます。それも毎年。

 選手は、今年が何らかの理由で出場できなくても、4年後ではなく翌年目指せます。

 世界の頂点は、4年に一度だから価値があると言うものでは無いと思います。

 開催都市の犠牲の上に成り立つ、収奪的なIOCの世界的な大興業と五輪貴族の寄生、そこに群れるデベロッパーや大会を仕切る広告代理店等々。

 今回の東京五輪の膿はこれまでもあったことで、表面化しなかっただけでは無いかと思います。

 オリンピックという怪物をこのまま太らせ続けるのか、はたまた開催地をギリシャなどに固定するのか、競技別世界大会に集約するのか、札幌冬季大会の誘致は、そのことを投げかけているのでは無いかと思います。皆さんで考えましょう。


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