IR誘致断念
- 2019年11月29日
今日から、本会議の代表格一般質問が始まりましたが、議長の体調が思わしくなく欠席となり、私が本会議を取り仕切ることになりました。
今日のメインは「IRカジノ誘致」に対する鈴木知事の判断です。
本会議は午前10時開会ですが、自民党会派の議員総会が10時になっても終わらず、準備が整ったのが10時36分過ぎとなってしまいました。
昨日から新聞各紙では、「誘致断念か」と報道されていることもあって、議場には多くの傍聴者の他、各報道機関のテレビカメラと記者が傍聴席前席に並び、緊張の中で議会開会宣言をして質問者を指名、まずは自民党会派から質問が始まりました。
多くの質問の中でのIRに関する質問事項は、①IRを誘致した場合、本道全体の経済や社会にどのような影響やインパクトを与えると考えるのか知事の認識を伺う②来年7月に迫った国の区域認定期限を踏まえ、IR誘致に関する判断はどのようにするのか。
の2点でした。
この質問に対する知事答弁の全文を掲載します。
①<IRは、これまでにないスケールとクオリティーの観光施設を民間の資金で整備・運営するものであり、国内外から多くの観光客を集め、道内を周遊していくことにより、交流人口や観光消費の増加はもとより、民間投資や域内需要の拡大など幅広い効果が期待されます。
また、ギャンブル依存症などといった課題は、区域認定プロセスの中で対策を具体化し、着実な取り組みを行うことで、マイナス面の軽減が図られるものと認識しています。
こうしたことからも、IRは本道全体の経済社会に大きなインパクトをもたらし、持続的な発展に寄与するプロジェクトであると考えております。>
②<私としては、自然と共生する北海道のIRは、大きな可能性が期待されるものと考えています。
一方、道民の皆様の間に様々な議論があることから、私自身、本日まで熟慮に熟慮を重ねた結果、その誘致に挑戦させていただきたいとの思いに至りました。
しかしながら、豊かな自然に囲まれた候補地は、希少な動植物が生息する可能性が高く、今回、区域認定までの限られた期間で環境への適切な配慮を行う事は不可能と判断しました。
このため、今回の区域認定申請は見送る事としますが、来たるべき時には挑戦出来るよう、所用の準備をしっかりと進めて参る所存です。>
と答えています。自民党会派は再質問はなし。
この自民党への答弁を踏まえて、民主会派は、①これまで、反対の立場で議論していたことから見送りを表明したことは評価するが、その判断に至る経過と理由を伺う。②来たるべき時に挑戦するとのことだが、苫小牧の他に釧路市や留寿都村が誘致に名乗りを上げていたが、挑戦する時にはこれらの候補地も含めて検討すると言うことか。③知事が繰り返し「道民目線」という言葉を使用していたが、それは道民の声を真摯に聞くということなのか、他の重要課題にも共通する知事の判断についてお聞きする。
の3点を質問しました。その答弁は以下の通りです。
①<私は、前知事のもとで4月中旬にとりまとめられた「IRに関する基本的な考え方」をベースに、7ヶ月という期間の中で、アンケート調査などにより道民の皆様のご意向を把握するとともに、諸課題の整理などを行いながら誘致の是非について鋭意検討を進めてきました。
今回、区域認定までの限られた期間で、自然豊かな候補地において環境への適切な配慮を行う事は不可能と判断し、区域認定申請は見送ることとしましたが、自然と共生する北海道のIRには、大きな期待を寄せており、来たるべき時には誘致に挑戦できるよう、所要の準備を進めていく考えです。>
②<森林に覆われた苫小牧・植苗地区は、北海道らしい自然共生型のIRが整備出来る可能性を有する場所であると考えていますが、同時に希少動植物の保護や水質保全など環境への影響に十分配慮しなければならないという課題もあります。
このため、来たるべき時期におけるIR誘致への挑戦に向けては、現候補地を基本に検討し、あらゆる角度からIR整備の可能性を追求していくことが必要と考えています。>
③<私としては、様々な政策を進めていくに当たり、常に幅広い方々の意見を丁寧にお伺いしながら、考え方を整理し、最終的には、一道民として、また道民の皆様から負託を受けた知事として、本道の将来にとって何が大切かということを見極める事が重要だと考えています。
この度のIR誘致に関しても、こうした基本姿勢のもと、私自身、熟慮に熟慮を重ね、判断したものです。>
と答えました。
民主会派は、再度挑戦するのでは無く、一旦白紙にして一から検討し直すべきと、再質問、さらに再々質問まで行いましたが、ほとんど繰り返しの答弁となりました。
自民党会派への答弁についても問題のある発言をしていますし、今後の一般質問や予算特別委員会で議論の深掘りをするでしょうから、IRについては今日の質疑だけでは終わらないものと思います。