PAC3公開訓練
- 2018年07月21日
札幌でPAC3の公開訓練が行われました。
空自は「防衛体勢の維持に万全を期すため」とのことですが、なぜ、訓練を公開したのか分かりません。それもPAC3の訓練公開は全国初ということです。
同じくミサイル迎撃のために米国から高額で購入するイージス・アショアの配備について、秋田県の佐竹知事、山口県の村岡知事は配備に疑義を示しています。
小野寺防衛相は、「北朝鮮の脅威は何も変わっていない」と両県知事に説明をしましたが、一方、菅官房長官は「日本にいつミサイルが向かってくるか分からないという厳しい状況は明らかに無くなった」と、各自治体に対しJアラートによる避難訓練を中止するよう指示したことが、説得力に欠いているということの根底にあるようです。
さらに、イージス・アショアの配備によって、市街地における電磁波の影響が懸念されているにも関わらず、両県に事前の相談もなく小野寺防衛相が配備ための測量調査の一般競争入札の手続きを先行させたことも不信につながっているようです。
そもそも、日本をターゲットとする中型弾道ミサイルは高々度数百km以上の上空まで到達してから目標物に落下してきます。
打ち上げ当初はイージス艦のミサイル、その後にイージス・アショアで迎撃となりますが、その高度は20~30km、さらに迎撃に失敗した後にPAC3の出番となりますが、改良型の「PAC3ブロックⅡ」は数度の迎撃実験に失敗、未だに迎撃が完全とは言えず、ミサイル防衛システムによる迎撃は不可能であるというのが通説となっています。
そもそも北朝鮮の保有する中距離ミサイルは300発以上と言われており、日本に向けて一度に発射されたらまったく手に負えません。
イージス艦は1隻に迎撃ミサイル「SM3」を8発しか搭載しておらず、短射程の「PAC3ブロックⅡ」も自走発射機に各4発を積み、1地点に2輌配備するから計8発で、1目標に2発ずつ発射することから弾道ミサイル4発にしか対応できません。
「何時いかなる場合にも備える」というのは自衛隊として当然の使命ですが、菅官房長官の発言、極東アジア情勢、無いより有った方がマシ程度のPAC3、第9高射隊の寺崎隊長が「訓練を通じて抑止力、対処力を堅持することは重要」と話していますし、それは分かったとしても、今、この時点で訓練を公開する事の意味は何なのでしょう。
政治的な観点から、懲りずに、国民に北朝鮮の脅威を忘れないように印象操作を行うためなのでしょうか。