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PFOA

  • 2022年01月25日

 映画「ダークウォターズ」を見てきました。

 この映画は、米国内で起きた大企業による公害を暴き、住民7万人もの被害者を大集団訴訟に導き、1弁護士が原告団弁護士としてその訴訟の中心的論理的支柱となり、真実を追い求めるという作品です。

 この大企業は実在する大手化学メーカー「デュポン社」。

 あらすじ<デュポン社からの排ガスや排水に含まれる化学物質により土地を汚染され、付近の河川の水を飲み、牧草を餌としていた牛が190頭も病死したと農家から相談を受けた弁護士は、当初このことを本気にせず企業との和解を進めるが、それに納得しない依頼主から神経系統を犯されてきた牛の異常な行動等を撮りためてきたビデオや、解体した牛の内臓の病変などを示され、さらに街の子ども達の歯の異常等にも気づくことで本当に公害かも知れないと疑問を抱き、関係行政に廃棄物に関する資料の開示を請求、資料が手元に届き、膨大な資料の整理に多くの時間を費やす中で「PFOA(ピーフォア)」、「C8」などの記号に突き当たります。

 そして、その「PFOA」などが政府の規制化学物質に該当しない新たな化学物質であること、その物質が強い毒性を持つことを突き止め、訴訟を起こそうとしますが、デュポン社の城下町で多くの住民がその工場で働いていることから反感を呼び、所属している弁護士事務所もデュポン社の顧問事務所である事から仲間の反対も多かった。

 しかし、デュポン社が「PFOA」の毒性を40年も前から知っていたにも関わらず自社の利益を優先して隠蔽を続けていた事を突き止め、住民も弁護士事務所も少しだけ協力的になったものの、デュポン社が強大な権力と資金力で押さえつけにかかりました。

 しかし、弁護士はデュポン社の不正を世に知らしめるために内部文書を環境保護庁などの政府機関にリーク、公聴会などで「PFOA」の危険性について証言、ついに住民7万人の健康診断にこぎつけました。

 その結果、住民の約5%にあたる3535人に共通する6種のガンなどが検出され、政府機関が関連性を認めました。

 このことにより、住民大訴訟となりましたが、デュポン社はこの訴訟を不服として不法行為を認めないまま被害者一人ひとりとの訴訟としています。

 弁護士は、一人ひとりの代理人として活動してこれまでに6億7070万ドルの和解金を支払い、訴訟は今も続いています。>

 これが、ストーリーのあらましですが、これを遠い米国の話として受け止めてはいけません。

 「PFOA」は水分をはじく特性を持っていることから、テフロン加工のフライパンや化粧品、塗料、消化剤、撥水剤など幅広い製品に使用されています。

 日本でも、大阪府摂津市のダイキン工業淀川製作所周辺住民から、血液検査の依頼があった京都大学環境衛生学名誉教授小泉昭夫氏が依頼者9人の血液を検査した結果、9人全員の血液から「PFOA」が検出され、最も高い人で日本の基準地の約70倍だったことが明らかになりました。

 米国で関連性を指摘された健康被害として①妊娠高血圧症並びの妊娠高血圧腎症②精巣ガン③腎細胞ガン④甲状腺疾患⑤潰瘍性大腸炎⑥高コレステロール となっており、日本はやっと21年から「PFOA」の製造と輸入を禁止しました。

 しかし、ダイキンは今も因果関係について「あくまでも可能性の一つ」としか認めず、ダイキン敷地内の濃度も公表していません。

 また、昨年には、沖縄の米軍基地から排出された下水道に13倍を超す「PFAS(PFOAと同種のフッ化化合物)」が検出されましたが、過去にもPFOAが主原料の化学消化剤が大量に吹き出し、それを下水道に廃棄していたことが明らかになりました。

 これらのフッ化化合物は地下にも浸透し、21年には琉球病院の地下水と専用水道水から暫定指定値を超えるPFAS検出されており(4年前からこの水を患者や職員の飲み水として使用。)、調査結果を受けて地下水のくみ取りを前面的に停止しました。

 因みに、沖縄県は土地が狭隘のため水源となる大きな河川がありません。

 この間の努力で水道事業を確立してきましたが、今でも約5%が地下水に頼っていますが、米軍によるであろう地下水の汚染により、沖縄県民は生活水まで脅かされています。


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