TOC条約を利用するな
- 2017年06月10日
共謀罪について、安倍晋三は「テロ対策は喫緊の問題で有り、20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、早急にテロ対策の国際的な条約を締結しなければならない、そのための国内法の成立を急がなければならない」と国民に説明していましたが、野党や法律の専門家はこぞって、「パレルモ条約(TOC条約)は国際犯罪におけるマネーロンダリングや人身売買、麻薬の犯人引き渡しなどの協力における国際条約であり、テロとは無関係である。」と反論していました。
しかし、安倍晋三を中心とした政府与党は、あの手この手を使い、理由にならない理由や、「テロを放置していいのか」という脅しを使ってこの法案を制定しようとしています。
国会で審議すればするほど、矛盾が露呈するというこれまでの法律案にはない程稚拙な法案ですが、これまで三度も廃案にされたことから、今回は政権も意地になって成立させたいようです。
しかし、この共謀罪に対し、国連のプライバシーに関する特別報告官のジョセフ・ケナタッチ氏は「改正案はテロリズムや組織的犯罪とは無関係な犯罪も対象とされており、恣意的に運用される危険性がある。」と指摘しましたが、政府はケナタッチ氏の疑問に真摯に説明することなく、批判さえしています。
そしてついに、国連の刑事司法学者であり、TOC条約を締結する国が、国内の法律を整備する際の指針を示す国連の立法ガイドの執筆者でもあるニコス・パッサス氏が、「条約は、組織的犯罪集団によって行われる金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象であり、テロは対象から除外されている。」と指摘しました。
さらに、「新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならない。」とも語り、日本政府に対し、批判を行いました。
まさしく、政府の主張である「テロ防止のための条約であり、加盟するために共謀罪は必要だ。」という根拠は崩れてしまいました。
この法案を成立させたら後進国よりレベルが低いと、国連のいや世界の笑いものになることでしょう。
反転攻勢、野党の追及を期待します。