TPPの裏表
- 2016年02月01日
政府は、TPPの経済効果額を約14兆円と試算、GDPを2.6%押し上げ、約80万人のこようが増えるとしていますが、果たしてこんなバラ色の結果が表れ、国民にとって本当にプラスとなる社会へと繋がっていくのでしょうか。
この試算は、政府が講じる様々な対策の結果と言うことであり、最初に対策ありきで、影響は後からそろばんをはじいたもの、本来であれば、まず影響を試算して公表し、それから対策を講じ、改めて試算し直すべきものです。
マイナスの影響を精査し、それに対してこのような対策を行うと言うのが常識的な進め方ではないでしょうか。
まずは、TPP23項目における損失額、効果額を算出し、それに対して国として各項目ごとに具体的な対策を講じ、その結果、約14兆円の効果額があるというというなら理解できますが、これからどのような影響が出てくるのかを明らかにせず、また、それに対して国費をどのように注ぎ込むのかも全く明らかになっていません。
TPPによる生産減少も、政府が経営安定策を講じることで主要33品目の生産減少額は1,300億円~2,100億円程度に収まると言っていますが、専門家が精査・再試算したところ、減少額は1兆5,594億円に上り、政府試算の約7倍以上になるとのことで、政府試算の問題点を以下のように述べています。
①TPP参加によって輸送業のコストが半減などの仮定がなされていて、国内産業の生産性向上をいくらでも恣意的に大きく出来るようになっている。
②算出モデルは、輸入が増えても国内産業があまり減らない数式モデルを使っている。
③農業をやめることに伴う食の安全や洪水防止機能を補うコストが加味されていない。
④関税が安くなれば、影響を受けるのは当該品目だけではなく、他の品目への生産シフトなどが考えられるが他の本牧への影響を加味していない。
等々。きちんとした精査が無ければ国会論戦も空回りが続き、不毛な時間だけが過ぎていき、国民には何も伝わらないのではないでしょうか。