TPP問題の行方
- 2014年02月10日
TPPは、昨年12月に妥結する予定でしたが、米国内での調整がつかず、今年2月にずれ込む模様ですが、それも難しそうです。
米国内では議会がねじれていることから、大統領に強力な権限を与える「TPA:ファストトラック:貿易促進権限」が可決していません。
米国は4月のオバマ大統領訪日までに妥結したいのが本音のようですが、米国内では労組がTPPの内容は自分たちのためになるのかということに懐疑的になってきたことから、与党の民主党にも慎重論も出始めてきました。
4月までにまとまらなければ、11月に中間選挙を控え、TPP問題はトーンダウンしてしまい、過去に起きたWTOのドーハラウンドの様にズルズルと長期化する様相となってしまいますし、一方、国外では、マレーシア、チリ、ベトナムなどが、非関税障壁分野においてアメリカとの意見対立が大きく、調整は難しくなっており、加えて台湾がTPP参加を表明していることも、今後の交渉にどのような影響を与えるのか予断を許しません。
さらにアメリカは、日本の聖域5品目の内、豚肉、牛肉にも照準を合わせていると言われています。
このような状況変化の中、日本はTPPについてどのようにしていこうとしているのか、まったく定かではありません。
今開かれている通常国会にしてもTPPに触れる議員はおりません。
国の形を根底から変えてしまうTPP。
この問題は、11月に行われる米国の中間選挙において、オバマ大統領の成果としてアピールする目的と、安倍首相が懸念する4月の消費税アップによる景気低迷が、アベノミクスの中折れにならない様に、成長戦略の目玉とすることによって政権維持を果たそうとする日米二国のリーダーの思惑の中で動いています。
従って、相変わらず国民にはTPPの内容が全く判りません。
私たちは、どうも熱しやすく冷めやすい国民性のようですが、TPP問題も忘れることなく、監視の目を磨くことが求められます。