TPP審議
- 2016年05月02日
「真っ黒な海苔弁」と称されるTPP資料。
この資料で何を審議せよと言うのか全く理解出来ずに国会中継を見ていたら、熊本地震が起こった事により、安倍晋三はこれ幸いにとTPP審議は今国会での成立は見送り、臨時国会での審議とするように判断したようです。
しかし、TPP審議の問題は少ない国会の審議でも明らかになったように、国会決議の農業製品重要5品目についても、全ての生産品目で関税撤廃や引き下げが行なわれ、無傷のものはゼロということも明らかになり、国会決議違反であることが露呈しました。
これも、国会において追求された政府が渋々認めたもので、審議が行われなければ明らかになることはありませんでしたし、他にもこのような課題がのこされているものと思います。
高橋はるみ知事は、道議会で自ら答弁した「国任せ」の姿勢を道内の農業者にどのように説明する考えなのか・・・?
これもたぶん責任逃れで「TPPについては国が責任を持って国民に説明すべきもの」と逃げを打つ事は、これまでの知事の言動から「想像に難くない」と思います。
そして、国会審議は農業への影響から始まりましたが、これはTPP協定の序章に過ぎなく、今後はさらに約28項目に及ぶ様々な課題が審議されることになります。
先般開催されたTPP特別委員会では、民進党の篠原 孝議員が多くのパネルによって、TPP協定の矛盾を明らかにしました。
そのパネルの中からの抜粋です。
●参加12カ国中、既に国会で審議が行われているのは日本のみで、他国は、年内審議入り、国会審議の目途が全く見通せないとなっており、米国はご存じの通り、大統領選挙 が終了してからとなることから、慌てて審議しているのは日本だけ。
●協定書の正文化は英語、仏語、西(スペイン)語のみである。
このうち、TPPに関する各国GDP比較では、英語圏は別にして、西語圏は6.2%、仏語圏は3.2%であり、米国に次ぎGDP2位の16.4%を占めながら日本語表記は無く無視されている(舐められている?)。
●日米牛肉・自動車関税削減比率
牛肉→38.5%(現行)→27.5%(1年目)→20%(10年目)→9%(16年目)
自動車→20年~30年以上の十分な時間をかけて順次撤廃。
理不尽な二つ米二国間合意内容
●米国との二国間協議では、関税自主権を放棄し、自動車に関しては、米国の大型自家用車が売れないということを忖度して、自国の徴税・課税権も投げ捨てて軽自動車に関わる税率を上げ、燃費が良く小回りが効く軽自動車の価格をつり上げる。
●この間の自民党の公約との関係では、
①12年12月自民党選挙公約:「聖域無き関税撤廃」を前提にする限り、TPP審議交渉参加に反対します→13年2月 安倍晋三は、オバマ大統領と交渉参加を約束。
②12年12月選挙ポスター:ウソつかない、TPP断固反対、ブレない→ウソつく、全て賛成、ブレまくり。
③13年4月農水委員会決議:
ア)農林水産物の重要5品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は、再協議の対象とすること。
十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。
→関税分類上の細目ベースで、重要5品目の30%、農林水産品全体では81%で関税撤廃を容認。
イ)食の安全・安心及び食糧の安定生産を損なわないこと。
→今後、ISDSで訴えられる。基準を緩くされる恐れ大。
ウ)濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISDS条項には号しないこと。
→ISDS条項に合意。
エ)農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し、底が確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする。
→脱退せずにずーっと妥協し続ける。
オ)交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。
→秘密交渉の結果は国会に報告せず、国民への情報提供は黒塗りの海苔弁当。
④13年夏参議院選選挙公約:TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきは守り、攻めるべきは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します。→自動車関連など攻めるものも攻めず、農林水産品など守るものも守れず。
パネルの半分程度ですが、それでも自民党の公約や国会決議を全く無視した内容となっているTPP協定に対し、皆さんはどのような評価をされますでしょうか。