Wスタンダード(ブログ3734)
- 2024年11月04日
日本が提出した核廃絶決議が国連総会で採択をされました。
193カ国中賛成は核保有国である米国と英国を含む145カ国、反対が中国、ロシア、北朝鮮を含む6ヶ国で、フランス、ブラジル、インドなど29カ国は棄権ということです。
この決議案は1994年から31年間毎年採択されていますが、近年では日本のWスタンダードに批判の声も出されています。
この決議案は「核兵器の無い世界の実現が国際社会の共通目標」として提案されていますが、提出国の日本は、核兵器禁止条約の批准もオブザーバー参加もしていません。
核兵器の無い世界の実現を高々と国際社会に訴えている国が、それも唯一の被爆国である日本が核兵器の禁止を否定しているとも思える対応を続けているからで、国内でも多くの国民がこのようなWスタンダードに違和感を抱いています。
政府は、米国の核の傘に守られている日本が米国に気を遣い、核兵器禁止を口に出せないようですが、同じく米国の核の傘に守られているドイツ、オランダ、ノルウェーはオブザーバー参加をしています。
ドイツは、ウクライナ戦争でロシアが核使用を示唆していることを念頭に、「核兵器が存在する限りNATOは核同盟であり続ける」と演説し、核兵器禁止条約は批准できないけれども、オブザーバー参加を判断しています。
日本も、隣国のロシアや中国、北朝鮮が核保有をしており、とりわけ北朝鮮が挑発的にミサイル発射実験を続けている現実的な環境にあることから、オブザーバー参加し、国際的にも日本の立場を表明するべきでは無いでしょうか。与党内でも公明党はオブザーバー参加を外相に申し入れており、既に世界の122各国・地域が賛成しています。
オブザーバー参加では、締約国会議の傍聴ができ、情報を共有できますが、意見を言えるのかは実はまだ決まっておりません。しかし、今回の国連総会では、軍縮を話し合われる第1委員会でドイツが先の演説を行っていますし、今後は日本の立場を訴える場面も想定されるでしょう。
また、日本は被爆国として核兵器の無い世界を目指しているけど、隣国には中国、北朝鮮、ロシアの核保有国があり、中国とロシアとは領土問題を抱えているし、北朝鮮とは拉致問題が未解決であるという日本の地勢的な位置と安全保障環境上を勘案し、米国の核の傘に入らざるを得ないという世界でも一番ジレンマに置かれている現状を伝えるためにもオブザーバー参加をすべきです。
さらに、今は批准はできないが核保有国と核非保有国の橋渡しに努力する役割を一層強めるべきだと思います。