TPP参加は国家百年の計か
- 2013年03月14日
自民党のTPP対策委員会は総会においてTPP参加を容認する提言を盛り込んだ決議を了承し、ここに晴れて安陪総理はTPPへの参加を表明することになります。
決議には、「聖域を確保できなければ脱退も辞さない」と書かれています。
オバマ大統領との話し合いの中で出された第3パラグラフ(第3段落)で、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように両国とも2国間貿易上のセンシティビティー(影響があるので慎重に扱うべき事柄)が存在する」と書かれてあり、あたかもお互いに配慮するというニュアンスを感じますが、TPPは二カ国間の交渉ではないことは中学生でも知っていることです。
よく参考にされるのが、米韓FTAですが、韓国での専門家ソン弁護士によると、締結後1年経って明らかになった問題点を数点挙げれば、医薬品・医療機器では、米国が独立的な検討機関で国民健康保険適用の医薬品の採択や価格決定の再審査を行い、その決定に拘束力を持たせるべきと求めており、いわゆるジェネリック薬品を使いたい韓国と、高い薬を売りたい米国の主張が対立している。
また、エコカー補助金については、韓国が行っている二酸化炭素の低排出車に補助金を出し、高排出車には負担を課すシステムに対し、米国車はほとんどが大型車で非関税障壁に当たるとクレームが入り、このシステムを断念することになった。
米国の投資会社の一つが、韓国政府の譲渡所得税の課税処分を不服としてISD条項を使って損害賠償の請求を行っており、韓国の税制度の根幹が揺らいでいる。
遺伝子組み換え食品の表示の強化が困難となり、学校給食への遺伝子組み換え食品禁止を明記したソウル市の条例も、撤廃されることが懸念されている。
ソン氏は、「この1年間で、米韓FTAのために改正を余儀なくされた法律は63にもわたり、その内訳も自動車、保険、医薬品、税制、著作権など多岐にわたり、今後も多くの法律の改正が必要となる。」と話されています。
よく言われる「聖域無き関税撤廃を前提とする限り」とありますが、これは逆に言うと、1品目だけでも例外を作れば、それだけで参加がOKとなるわけです。
安陪総理も交渉力をよく口に出しますが、日本の外交交渉力、それも米国に対する交渉力がそもそも有るとはとても思えません。
それがあれば、日本と米国の関係はもっと違ったものになったに違い有りませんが、残念ながら今でも日本は米国の属国としての扱いしかされていないという事実です。
そして、米国における日本企業への訴訟で、日本企業が勝つことはほぼ稀と言っても過言では無く、訴訟能力でも圧倒的な差が有り、ISD条項にしても米国企業の思うつぼとなるはずです。
TPPが「国家百年の計」として参加しなければならないものなのか?
今でも、基本21項目について情報提供もされておらず、国民はTPPの全容すら知ることができません。
国民には何も伝えず、猛進する総理とそれを許した自民党。
良い方向に向かわなければ、国益を損ない、万死に値することになります。